子どもの甲状腺の病気 |
心身の調節に欠かせない甲状腺ホルモン |
甲状腺は「のどぼとけ」の下に、チョウが羽を広げて気管を抱くような形でくっついています。正常な甲状腺は柔らかいので触っても分かりません。甲状腺からは、トリヨードサイロニンやサイロキシンと呼ばれる甲状腺ホルモンが分泌されます。これらは全身(脳、心臓、消化管、骨、筋肉、皮膚、その他)の細胞の新陳代謝を活発にする作用があり、精神や身体活動の調節に欠かせません。 |
バセドー病や橋本病が代表的疾患 |
甲状腺ホルモンを作るにはヨードが不可欠で、これが不足すると甲状腺ホルモンは合成されません。日本では食事の中に十分ヨードが含まれていますので、あえて別途に摂取する必要はないとされています。一般には甲状腺ホルモンは一定濃度になるように自己調節されていますが、多すぎても少なすぎても異常が起きます。 |
早めに気づきたい子どもの疾患 |
熊本市民病院
小児科 医師 中村俊郎 バセドー病や橋本病は成人女性に頻度の高い疾患ですが、小中学生にも時々見られます。先ほど挙げたさまざまな症状があるのですが、子どもは自分から症状を訴えない事も多いようです。症状は進行しているのに、学校検診の時に初めて指摘されて専門医を紹介されることもしばしばです。 |
Q&A |
3歳の男の子。首に小指の先ぐらいのしこりがあります。触ると少し痛がります。何か悪いものではないでしょうか。 |
熊本大学大学院
医学薬学研究部 小児科 准教授 三渕浩 耳の下から2ー3センチのところにコロッとした、弾力のある、動く腫瘤(しゅりゅう)は腫大した頚部(けいぶ)リンパ節だと思います。この年齢の時は、大した病気がなくても首の周りに数個、直径5ミリから1センチのコロコロしたリンパ節が触れることはよくあります。 |