まいらいふのページ

2008年 「まいらいふ」7月号

こどもの日焼け

肌の老化やがんの危険性を増やす紫外線のダメージ

 梅雨が明けるといよいよ夏本番です。夏休みには、真っ黒に日焼けした子どもを目にします。一方で、日焼けが肌の老化を進めることはよく知られるようになりました。
 日焼けによって皮膚はダメージを受け、老化が進み、がんの危険性が増えます。このダメージは、日光の中の紫外線によって引き起こされます。紫外線が皮膚に当たると、ビタミンDを作る、血流を促進するなどよい働きもあります。しかし紫外線は、皮膚の細胞間にあるコラーゲンなどに傷をつけ、皮膚の弾力性を次第に減らすと言われています。
 紫外線は、体の設計図であるDNAにも傷をつけます。DNAに繰り返し傷がつくと、がんを起こす原因になることがあります。子どもの時は、細胞やコラーゲンなどの置き換わりが活発なので目立った変化は少ないのですが、成人になるまでにこのような変化がたまっていく心配があります。
 また、日光によってダメージを受けやすい皮膚には特徴があります。日に当たった後、赤くなるだけで黒くならない皮膚は、紫外線のダメージを受けやすいと考えられます。


帽子をかぶり、風通しのよい服を

 最近は暑さが厳しいので、真夏の昼間に公園で遊ぶ子どもは少なくなりました。紫外線を防ぐには、過度の直射日光を避けるのが一番です。紫外線が多くなる春の後半から秋の初めにかけて、また午前10時から午後2時ごろまでは、特に注意が必要です。赤ちゃんはできるだけ直射日光を避けた方がよいでしょう。
 しかし、遊びたい子どもたちはそうも言っていられません。帽子をかぶり、風通しのよい服を着ることは、紫外線を防ぎ、あせもや熱中症の予防にも効果的です。
 海水浴などではTシャツを着る、バスタオルをはおる、泳いだ後、皮膚が熱を持っているようであれば水でよく冷やす、などの対策がお勧めです。


気をつけて使おう、子ども用日焼け止め
熊本大学医学部附属病院
小児科
助教 中村公俊

 ベビー用や子ども用の日焼け止めクリームも試してみましょう。日焼け止めは、細かい粒子によって紫外線が皮膚に届くのをさえぎります。日焼け止めには効果の目安としてSPFやPAなどが記載してあります。効果が高いものには皮膚への刺激が強いものもあります。子どもには、効果が弱めのものから使ってみてください。使う前にほんの少しだけ皮膚につけてみて、後から腫(は)れやかゆみが出ないか確認することも大切です。
 また、汗をかきやすい子どもには、遊んでいる途中で汗を拭いた後、もう一度塗ってあげてください。家に帰ったら、できるだけ早く洗い流しましょう。皮膚への刺激が続くだけでなく、あせもの原因になることもあります。
 紫外線の強い時期は、大人と同じように子どもの肌も守りましょう。


Q&A
下の子(小学校1年生)は、麻しんの予防接種を2回しましたが、1回しか接種がなかった上の子(小学6年生)も2回目を接種できると聞きました。予防接種はいろいろ変わるのでよく分かりません。新しいやり方を教えて下さい。
熊本大学大学院
医学薬学研究部 
小児科 
准教授 三渕浩

 お母さんのご相談通り、予防接種はいろいろ変わります。戸惑うことも多いでしょうが、世界の状況、地域の状況、副作用、新しいワクチンの開発状況など、時代の変化に合わせた対応をするためです。
 麻しん、風しんの定期接種(MRワクチン)は、数年前から1歳と就学前とに2回接種することになりました。しかし近年、1020代の若者の間で麻しん流行があり、これをなんとかするために、今年4月から5年間、中学1年と高校3年に相当する年齢に補足的にワクチン接種を行うことになりました。
 従って、小学6年生は来年1回MRワクチンを接種することになります。必ず受けましょう。
 また、今年からインフルエンザ菌b型(毎年流行するいわゆるインフルエンザウイルスではありません)に対するワクチンが任意接種として認められました。小児に髄膜(ずいまく)炎、喉頭蓋(こうとうがい)炎を引き起こす恐ろしい原因菌に対するワクチンです。詳しくはかかりつけの小児科医にご相談ください。