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2008年 「まいらいふ」6月号

こどもの熱中症とその予防

熱中症は、高温による体温調節の異常

 熱中症は、周囲の温度や湿度が高いために、体の熱を外へ出せなくなることによって起こります。体温の調節ができないため、命にかかわることもあります。梅雨明けから8月上旬にかけて多く発生しますが、熱中症が起こりやすいのは真夏ばかりではありません。梅雨前後にも暑い日や湿度の高い日があります。暑さ対策も不十分になりがちですし、体もまだ暑さに慣れていません。湿度が高いと汗が蒸発しにくく体温の調節も難しいため、急に気温が高くなった日はさらに注意が必要です。


脱水と高体温により さまざまな症状が起こります

 熱中症はその症状により、軽症、中等症、重症に分けられます。軽症では急な発汗と水分補給によってナトリウムやカリウムなどのバランスが崩れ、筋肉痛やこむら返りなどが起こります。中等症では水分が極端に不足するために頭痛、めまい、嘔吐(おうと)などが起こります。重症では体温を調節できないため、意識がなくなり血圧が下がるなど、命にかかわることもあります。
 軽症、中等症、重症はそれぞれ、熱けいれん、熱疲労、熱射病と呼ばれています。また、同様の症状で日射病と呼ばれるものは、直射日光に当たることで血液の循環が悪くなって起こる立ちくらみと、ここに述べた中等症の症状とを表す言葉として使われています。


熱中症の予防には水分補給と暑さ対策を
熊本大学医学部附属病院
小児科
助教 中村公俊

 熱中症は脱水と高体温により起こるので、予防には水分補給と暑さ対策が重要です。強い日差しやアスファルトの照り返しなどを避け、日差しの強い日や気温の高い日の外出をできるだけ控えます。外出するときは帽子をかぶせ、風通しのよい服にして、日傘や日陰などを使ってできるだけ直射日光が当たらないようにします。小まめにタオルで汗を拭き、水分の補給を早めにするよう心がけてください。
 ベビーカーは地面の照り返しの影響を受けやすく、カバーをかけていると熱がこもります。そのため隣にいても赤ちゃんの周囲の温度が上がっていることに気づかないことがあります。ベビーカーの通気をよくし、下の方を時々触って温度をみるなどの注意が必要です。
 遊びに熱中している子どもは、脱水や疲労に気づかないことがあります。時間を決めて早めに休憩させ、水分を補給してください。小学生から高校生にかけての部活動でも、休憩と水分や塩分の補給が重要です。また短い時間であっても、車の中に子どもだけ放置しては危険です。外の気温がそれほど高くなく、窓が少し開いた状態でも、短時間で車内温度が上昇して熱中症が起こることが知られています。必ず大人と一緒に行動させるようにしてください。


Q&A
2歳の男児。言葉が遅れていて自閉症ではないかと心配です。保育園に行っていますが、ほかのお友達と遊ぶのも苦手で、一人遊びをしています。何か普通の子と違う感じがして心配です。
熊本大学大学院
医学薬学研究部 
小児科 
准教授 三渕浩

 自閉症は、小児の精神発達の障害の一つです。人との関係を上手にするのが苦手だったり、言葉などのコミュニケーションの発達が遅れていたり、特徴的なこだわりを持っている場合に疑います。お子さんの場合、言葉の遅れがどの程度なのか、一人遊びをするのは社会性がないためなのか、こだわりを示唆(しさ)するものがあるのか、などが問題になります。
 典型的な自閉症ならば、2歳で診断がつくはずです。1歳半健診はどうだったでしょうか? 指差しがなかったり、視線があまり合わなかったり、お母さんの手を道具のように使ったり(クレーン現象といいます)、食べ物、物、順番にこだわったり、新しい場所が嫌いでパニックになりやすいなどは要注意です。運動面でも不器用だったり、つま先歩きをしたりする場合も注意が必要です。 逆に、言葉は遅れていても、表情が豊かで、こちらの言うことを聞いてくれるときはあまり心配いりません。しかし気になるようでしたら、専門の医療機関やお近くの発達相談窓口に相談してください。