まいらいふのページ

2010年 「まいらいふ」3月号

小児科医とのつきあい方

まずは 「かかりつけ医」を

 「心配ありません」と言われてほっとしたり、思いがけない言葉に腹が立ったり…。子どもの両親と小児科医との関係はその時々で変わります。小児科医とのつきあい方を少しだけ知っておくと、お互いに必要な情報をもっと楽に交換できると思います。
 そのためにまず、かかりつけ医を持ってください。かかりつけ医は、家族の様子、学校や園での生活、よくかかる病気や体質などを知っていることから、診断や治療が容易になることが少なくありません。
 かかりつけ医を選ぶには、周囲の評判を聞いたり、自宅や職場からの距離や診療時間を考えたりされるかもしれませんね。自分の住んでいる地域に小児科医がいれば、まずそこがお勧めです。それは、幼稚園や保育園、学校などで流行している病気や、地域の行政・福祉といった情報にも詳しいと思われるからです。
 一方で、園に近い、都合の良い時間に受診できるなど、ライフスタイルに合わせて選ぶことも必要でしょうし、診療や治療の方針に納得できることも大切です。
 評判はいろいろあるかもしれませんが、自分たちの目で確かめてみましょう。また、小児科医との相性もあります。コミュニケーションの取りやすい医師とおつきあいしましょう。


受診の際には 情報や質問のメモを

 受診するときには、子どもの様子や心配なことを整理した簡単なメモを作りましょう。受診前に熱を測り、顔色、食欲の違いや、質問したいことなどを書いておきます。
 水ぼうそうやおたふくかぜなど感染力の高い病気を心配しているときは、受診前に病院に伝えておくと待合室、診察室などを考えてくれます。
 また、身長・体重やおねしょ、落ち着きがないことなど、いずれ相談したいと思っていることは、忙しい時間帯にはなかなか聞きづらいものです。このような相談は、問診票の最後に書いておいたり、別に時間を作って相談したい旨伝えるなどして、余裕のある時に聞くようにしましょう。


時間外救急の 受診後は 必ずかかりつけ医に
熊本大学医学部附属病院
小児科
講師 中村公俊

 時間外の受診はどのような時に必要なのでしょうか。時間外救急の治療は、その時の症状を軽くするものに限られることが多いです。見極めは難しいのですが、翌朝まで待ってかかりつけ医を受診した方が子どもの負担が少ないこともあります。
 インフルエンザ感染では、脳症や肺炎などを心配するときは緊急の受診が必要ですが、発熱だけであれば翌朝の受診でもよいでしょう。
 嘔吐(おうと)下痢(げり)症では脱水があれば受診が必要ですが、少しずつ水分を飲ませていれば翌朝でもよいことがあります。
 いずれにしろ時間外救急を受診した翌日は、必ずかかりつけ医の診察を受け、見極めについても教えてもらいましょう。


Q&A
 8カ月の赤ちゃんですが、最近、頭を左右に激しく振ることがよくあります。眠っていて振ることもあります。何か病気ではないでしょうか?
熊本大学大学院
医学薬学研究部 
新生児学寄附講座 
特任教授 三渕浩

 半年過ぎぐらいの赤ちゃんが頭を左右に振ることはよくあります。おそらく病気ではないと思います。理由は分かりませんが、癖のようなものだったり、頭をゆすって笑ったり、自分で楽しんでわざとしているような時もあります。
 また、もう少し大きい子では、頭を振るとお母さんが反応するのでそれを楽しんでいることもあります。眠っていて振るのは夢でも見ているのでしょうか。
 あまり心配しなくていいと思いますが、頭部や首に湿疹(しっしん)などでき、かゆがって頭を振ることもあります。中耳炎など耳の炎症から頭を振ることもあります。これらの場合は、皮膚の異常や熱が出るなどの症状や、いやがっている様子がうかがえると思います。けいれんなどで頭を振る場合は前後の動きのことが多く、また、顔色や表情も普段と明らかに違います。心配であれば、ビデオや携帯で動画を撮って医療機関で見てもらいましょう。