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2010年 「まいらいふ」2月号

子どものインフルエンザ

新型と季節性重なって流行

 今回のインフルエンザのシーズンには、これまで流行をくり返してきた季節性のインフルエンザと、ブタに由来する新型インフルエンザとが重なって流行していると考えられています。新型インフルエンザの特徴は、人から人へとうつりやすいことです。多くの人が新型インフルエンザに対する免疫を持っていないからです。
 特に子どもは集団生活をする機会が多く、園や学校などで流行が広がってきました。インフルエンザに感染したほとんどの人は数日から1週間程度で回復するのですが、まれに脳症や肺炎など重症になることがあります。感染する子どもの数が多いため、重症者の数も増えていると考えられます。


気を付けたい脳症、肺炎の症状

 新型インフルエンザの症状は、季節性インフルエンザとほとんど違いはありません。また、病院で行う検査では新型と季節性のインフルエンザの区別はできません。そこで日本小児科学会からは、新型と季節性を、診療していく上で区別しないことが提案されています。
 インフルエンザは、せきやくしゃみなどによって鼻やのどから出たウイルスが、空気中から他の人に取り込まれることによってうつります。ウイルスをもらってから1〜2日程度で発熱、せき、鼻水、頭痛や筋肉痛などがみられます。通常は発熱が3日から5日ぐらい続きます。
 では、どのような場合に重症のインフルエンザを心配すればよいのでしょうか。新型、季節性のどちらであっても、脳症、肺炎などの症状に気を付けることが大切です。
 脳症を心配するのは、意識障害、5分以上続くけいれん、異常行動などの場合です。子どもは、発熱だけでもこれらの症状が出ることがあるため、小児科医でも判断が難しいことがあります。
 肺炎を心配するのは、呼吸が速い、息を吸うときにのどや胸がへこむ、顔や指先の色が悪いなどの場合です。どちらも発熱が始まってから1日以内に起こることが多いと言われています。


うがい、手洗いなどでしっかり予防を
熊本大学医学部附属病院
小児科
講師 中村公俊

 インフルエンザの予防には、うがい、手洗い、人ごみを避ける、部屋の温度と湿度を保つなどが有効です。外出後や、多くの人が触るような場所に触れた後には必ず手を洗いましょう。せきやくしゃみをするときにはティッシュなどで鼻や口を覆います。マスクを使うとウイルスを他人にうつさない効果が期待できますが、自分を守る効果は限られています。
 インフルエンザにかかったら、できるだけ無理をせず、ゆっくり休ませることが大切です。高い熱が続く時には食欲がなくなり、元気もなくなります。症状が強いときには熱さましの薬を使ったほうがよく眠れて食欲が出ることもあります。子どもに使える熱さましの種類は決まっているので、かかりつけ医から処方されたものを使ってください。


Q&A
 5歳の男の子ですが、食べ物の好みが変わっていて心配しています。ジュースなど甘いものが全般的に嫌いで、肉や魚、油ものばかり食べます。ご飯もめん類も嫌いですが、油がからんだチャーハンやスパゲティは食べてくれます。このまま放っておいて大丈夫でしょうか?
熊本大学大学院
医学薬学研究部 
新生児学寄附講座 
特任教授 三渕浩

 食べ物の好き嫌いは誰にでもあるものですが、お子さんの場合はちょっと気になるところがあります。
 一般的にはニンジンやピーマンなど、ある特定の食材を嫌うことが多いのですが、その場合は、食わず嫌いだったり、見かけやにおいが嫌だったりするので、工夫により食べることができるようになります。今回のお子さんは糖質を避けて、高タンパク、高脂肪食を好んでいるようです。お酒が好きなお父さんならば分かりますが、小さいお子さんで、ジュースや甘いものが嫌いなのは珍しいことです。
 お子さんに、食べ物による体調の変化はないでしょうか。また、新生児の代謝スクリーニングや肝臓の異常を一時的でも指摘されたことはないでしょうか。糖質を避けて高タンパク、高脂肪食を好む食癖のある疾患も見つかっています。
 また、食べ物の好き嫌いは合目的(自己防衛的)な理由によって起こることもあります。たとえば、ある種の代謝異常やアレルギーのある人では、体が必要とするものを好んで食べ、有害になるものは食べなくなることがあります。そのような場合は、好き嫌いを矯正すると、体の具合が悪くなってしまいます。一度、専門の医療機関(病院小児科)にご相談ください。