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2009年 「まいらいふ」5月号

腎臓病や糖尿病を早期に発見

腎臓病や糖尿病を早期に発見

 4月、5月には小学校、中学校などで尿の検査があります。尿を検査することで何が分かるのでしょうか。
 尿は腎臓で作られ、体の働きを調節し、不要なものを捨てる役割があります。尿の量は、赤ちゃんでは1日100ml程度ですが、次第に量が増えて、小学生では1日約500-1000ml、大人では約1000-1500mlの尿が出ます。この尿を調べることで、腎臓の病気や糖尿病などを診断することができます。
 学校へ尿を出す検査は、学校検尿と呼ばれ、尿に含まれる潜血、タンパク質、糖の量を調べています。子どもの腎臓病や糖尿病を早く見つけるための検査です。
 子どもの腎臓病の中でも、慢性腎炎は気付かないうちに腎臓の働きが悪くなり、透析(とうせき)が必要になることがあります。また、子どもの糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。これらの病気を早く見つけることで、症状が進む前に治療を始めることができます。


精密検査が必要なこともある血尿や蛋白尿

 潜血が見られる尿のことを血尿と呼びます。尿に血液の一部である赤血球が出ている状態です。ほとんどは病気とは関係のない「無症候性血尿」なので、あまり心配はいりません。初めての血尿や肉眼的血尿(紅茶色やコーラ色の尿)の場合は精密検査を行います。
 また、タンパク質が見られる尿のことを蛋白(たんぱく)尿と呼びます。多くは、「体位性蛋白尿」と呼ばれる体質によるもので、体を動かした後に蛋白尿が出てしまいます。朝起きてすぐの尿(早朝尿)の検査で蛋白尿がなければ心配いりません。しかし、早朝尿にいつも蛋白尿が見られる場合には、精密検査が必要です。血尿と蛋白尿の両方が同時に見られるときは、腎臓の病気が考えられるので精密検査を行います。


原因、治療が異なる1型・2型の糖尿病
熊本大学医学部附属病院
小児科
講師 中村公俊

 尿に糖が多く出ているときは糖尿病が考えられます。子どもの糖尿病には1型と2型があり、原因や治療法が違います。1型糖尿病は、糖を栄養として利用する時に必要なインスリンを、自分で作ることができなくなる病気です。インスリンの注射を自分で行うことで治療します。2型糖尿病は、体質などによってインスリンの働きが悪くなる病気です。薬で治療することがありますが、運動や食事を変えるとよくなることもあります。しかし体質の影響が強いので、必ず定期的に病院で検査を受けてください。
 また、糖尿病とは関係なく尿に糖が出るものに腎性糖尿があります。腎性糖尿では、血糖は正常なのに、腎臓から尿に糖を出す働きが強くなっています。病気ではないので心配いりませんが、一度は精密検査を受けた方がよいでしょう。
 学校検尿の尿を出す時の注意点は、寝る前に必ず排尿することと、朝起きてすぐに尿を採ることです。そのときに、少し尿を出した後の尿(中間尿)を採るのがよいとされています。


Q&A
生後1カ月半の男の子です。1カ月がたったころから、授乳後にげっぷを出すため、たて抱きして背中をさすっていると、今飲んだおっぱいをピューッと吐いてしまうようになりました。ひどい時は授乳ごとに吐き、最後には黄色い液体がでるようになりました。どうすれば、吐かずに飲ませることができるでしょうか。
熊本大学大学院
医学薬学研究部 
新生児学寄附講座 
特任教授 三渕浩

 体重の増え方はどうでしょうか?よく増えているのなら、そんなに心配しなくてよいと思いますが、体重の増えが悪いときは病気の可能性があります。生後しばらくして始まる嘔吐(おうと)に「肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)」という胃の出口が狭くなる病気があります。噴水のように嘔吐することで知られ、吐いた後にまたすぐミルクを欲しがったりします。また、繰り返す乳児の嘔吐の原因として「胃軸捻転(ねんてん)症」があります。症状の経過と捻転時のレントゲン写真などから診断されます。心配な時は近くの小児科にご相談ください。
 体重がよく増えている場合は、おっぱいや空気の飲みすぎか、げっぷの出し方がへたなのかもしれません。一般的にはたて抱きにして背中をさすったり、軽くたたいたりします。げっぷと同時におっぱいを吐くことも多いので、お母さんの肩や胸にタオルやガーゼなどを置き、カバーすると汚れずにすみます。赤ちゃんは胃の形が大人と違い、吐きやすくできていますので、どうしても吐いてしまう赤ちゃんもいます。何カ月も吐き続けたけれど、大きくなると治ったという例もあります。