まいらいふのページ

2009年 「まいらいふ」4月号

O脚・X脚・偏平(へんぺい)足

発達の過程で見られるO脚とX脚

 脚の形は目につきやすいので、気にされることがあるかもしれません。O脚は、両方のかかとを付けたときにひざの間が開いてしまうことです。両足がアルファベットのOの文字のように見えることから名前が付いています。特に赤ちゃんは、ひざの下の骨がもともと内側に曲がっているため、生まれつきO脚になっていることが珍しくありません。1歳ごろに最も目立ちますが、歩き始めると次第に改善し、3歳ごろまでに自然によくなってしまいます。
 一方、X脚は、両ひざを付けたときに、くるぶしが離れてしまう状態です。両足がアルファベットのXの文字のように見えます。X脚は3〜5歳ごろに目立ち、7歳ごろまでに改善します。
 このようにほとんどのO脚とX脚は、正常の発達の過程で見られるものであり、成長に伴って自然に消失します。しかし3歳を過ぎても見られるO脚や、7歳を過ぎても見られるX脚は、そのまま残ることがあります。


関節や骨の病気が疑われる場合検査と治療を

 O脚やX脚が、関節や骨の病気の症状として現れることもあります。脚以外にも骨の変形を認めるとき、複数の関節の痛みを伴うとき、身長が極端に低いときなどは、かかりつけ医に相談してください。X線撮影や血液検査を行う場合があります。
 また、両ひざの間が7センチ以上離れているO脚や、くるぶしの間が7センチ以上離れているX脚の場合は、ひざ関節のところで、上下の骨が作る角度を確認するためにX線写真を撮ることがあります。極端なO脚やX脚がある場合は装具をつけて治療を行うこともありますが、ほとんどの場合、手術にはなりません。


偏平足に加えて痛みがあれば相談を
熊本大学医学部附属病院
小児科
講師 中村公俊

 偏平足とは、足の先からかかとまでの、骨が作るアーチ構造が十分にできずに、土踏まずができていない状態です。
 もともと赤ちゃんの足はふっくらとしていて、土踏まずがはっきりしません。歩き始めると次第に足底筋などの筋肉が発達し、小学校低学年ごろまでに足の骨のアーチ構造が完成します。そして土踏まずの部分も持ち上げられていきます。
 偏平足は、この発達が十分でないために起こります。アーチ構造はクッションとしての役割があり、姿勢の調節にも必要です。偏平足は疲れやすいと言われることがあるのは、これらの役割がうまく果たせないためと考えられます。
 アーチ構造をつくるためには、足の底にいろいろな方向からの力が加わることが大切です。底の柔らかい靴を用いるのがよいでしょう。けがやしもやけなどに注意しながら、はだしで生活させるのも一つの方法です。また、偏平足のように見えても、骨のアーチ構造は完成している場合もあります。偏平足に加えて、痛みがある、足が疲れやすいなどの症状がある場合は、かかりつけ医に相談してください。


Q&A
生後1カ月の赤ちゃんの母親です。インフルエンザにかかってしまいました。近くの病院でタミフルを処方してもらいましたが、母乳を与えているのに飲んでいいのか、母乳をどうしたらいいのか、赤ちゃんにうつったらどうしよう、と悩んでいます。
熊本大学大学院
医学薬学研究部 
新生児学寄附講座 
特任教授 三渕浩

 まずは、お母さんが安静、休息、栄養を取って、早くよくなることが大切です。タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬をお母さんが飲むことは、問題ありません。一般的に、発病後、早めに飲むと効果が期待できます。赤ちゃんに対する抗インフルエンザ薬の投与は、通常1歳未満児へは慎重にするので、1カ月の赤ちゃんには使用しないと思います。また、抗インフルエンザ薬や風邪薬の母乳への移行は少量ですので、母乳も中止する必要はありません。
 問題は、お母さんと赤ちゃんの接触が多いと赤ちゃんにインフルエンザがうつってしまう心配があることです。できれば、誰かに赤ちゃんはみていただいて、母乳は搾って与えるのが一番良い方法かもしれません。しかし、ほかに赤ちゃんをみる人がいない場合は仕方ありません。薬をきちんと飲み、マスクや手洗いをして、部屋の温度や湿度に気を配って、赤ちゃんに接することが大切でしょう。
 また、お母さんがインフルエンザと分かったときには、すでに赤ちゃんにうつっていることも十分考えられます。1カ月の赤ちゃんがインフルエンザにかかって、重症になることは少ないので、慌てる必要はありません。何か症状が出たら、小児の医療機関にご相談ください。