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2008年 「まいらいふ」12月号

子どものインフルエンザ

症状が強い時は処方された熱さましを

 冬が近づいてくると、インフルエンザの流行が心配になります。インフルエンザは、せきやくしゃみなどによって、鼻やのどから出たウイルスが、空気と一緒に他の人に取り込まれることによってうつります。ウイルスをもらってから1、2日程度で発熱、せきや鼻水、頭や筋肉の痛みなどの症状が起こります。通常は発熱が3日から5日ぐらい続きます。インフルエンザの診断は、病院で鼻汁を取って検査すると分かります。
 インフルエンザにかかったら、ゆっくり休ませることが大切です。登園・登校をさせないことで周りへの流行を防ぐことにもなります。高い熱が続く時には食欲がなくなり、元気もなくなります。症状が強いときには熱さましの薬を使った方が、よく眠れて食欲が出ることもあります。子どもに使える熱さましの種類は決まっているので、かかりつけ医から処方されたものを使うようにしてください。


異常行動やけいれんに注意 インフルエンザ脳症

 インフルエンザでは、まれに脳症を起こすことがあります。日本では毎年、数百人がインフルエンザ脳症にかかっており、その大部分は幼児です。
 脳症の約10%は死亡し、後遺症を残すことも少なくない大変怖い病気です。インフルエンザ脳症の多くは、発熱から1日以内に症状が始まり、意識障害、けいれん、異常行動などによって発見されます。何となくボーッとしている、アニメのキャラクターや動物などが見える幻視・幻覚、普段と違う言動などが特徴です。
 子どもは、発熱だけでもこれらの症状が出ることがあるため、脳症と区別することは小児科医でも難しいことがあります。幻視・幻覚などの異常行動や10分以上続くけいれんがあるときにはすぐに病院を受診してください。


予防接種で発病予防を

 インフルエンザにかかったときに、抗ウイルス薬を使うことがあります。ウイルスが体に入った後で、細胞から細胞へと感染が広がるのを防ぎ、発熱の期間を短くする効果があります。一方で、まれにですが、インフルエンザによる脳症と抗ウイルス薬の影響による症状との区別がつきにくい場合があります。そのため、平成19年3月に厚生労働省から1019歳のインフルエンザ患者にはタミフルという種類の抗ウイルス薬を原則として使わないとの通達が出されています。今のところ抗ウイルス薬と脳症との関連は明らかではないので、かかりつけ医の指示に従って薬を使うようにしてください。
 ところで、インフルエンザの予防接種は済んでいますか? 1歳以上の子どもに予防接種を行うと、インフルエンザの発病を予防する効果があると言われています。すなわち、予防接種を行うことでこれまでに挙げたような心配を減らすことができます。予防接種については、かかりつけ医に相談してください。


Q&A
4歳の娘ですが、食事をしているときによく食べ物がのどに詰まりそうになります。生後2カ月のときも、たんをのどに詰まらせようとして慌てて病院に行きました。食事のときはなるべく独りにしないように心がけていますが、体に何か異常があるのでしょうか?

 2カ月のときのことはよく分かりませんが、時間がたっているので今の症状とは関係ないと思います。乳児期前半はのどにおっぱいをひっかけたり、たんが出せずにのどがゴロゴロいうことはよくあります。4歳児では、へんとうやアデノイドが肥大してのどが狭くなり食べ物を詰まらせたり、鼻呼吸ができにくくて、食べているときに息ができなくなったりする子は時々見かけます。それらの心配がある場合は、耳鼻科で一度診察してもらうとよいでしょう。
 そのほか、この年齢でよくあるのは、慌てんぼうだったり、早食いの傾向がある子、(特に男の子に多いようですが)好きな食べ物を人より先に口に詰め込んでしまう子がいます。そんな子がへんとう肥大などを合併していると窒息の危険性があります。
 また、食べるときにテレビを見たり、ほかのことに気を取られてのどに詰まらせる例もあります。食事のときは、ゆっくりよくかんで飲み込む習慣をつけましょう。また、とろみのあるものや水分を取りながら食事をすることも大切です。