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2008年 「まいらいふ」10月号

中2になった息子との会話がぐっと減り、何を考えているのか、何をしているのかわかりません

今回のご相談 熊本市 40歳

 一人息子のせいか、周りの友達より幼い感じがしていた息子。中2になってしばらくした頃から、話しかけても返事もしなくなり、会話を交わすことがぐっと減ってきました。そそくさと夕食を済ませると、すぐに部屋にこもります。様子を見に行くとあからさまに不機嫌になり、「入ってこないで」と言います。何を考えているのか、何をしているのか、まったく分からなくなってしまい不安です。どう対応すればいいのでしょうか。


思春期を迎えたサイン、健康な成長過程です。毎日の暮らしの中で、子どもをしっかり見守って
臨床心理士
植村孝子
はっとり心療クリニック
熊本電波高専非常勤カウンセラー
熊本県立大学非常勤カウンセラー

 一人っ子や長子のお母さんにとって、思春期の子の親”になるのも初めての経験。子どもの変化に戸惑って当然だと思います。ご相談のような「無口になる」「一人の時間を持ちたがる」のは、思春期を迎えたことを示すサイン。健康な成長過程で、大人の入り口に立ったわけですから、心配はいりません。  そこで親としては、“子育てのモードが変わる”ことを認識したいものです。親に、直接かかわってもらうことを喜んでいた子どもも、思春期になると、自分の世界に踏み込まれるのを嫌がるようになります。まずはそういう心情を理解したいものです。分かりたいと思うあまりにかまい過ぎたり、問い詰めては、かえって反発され、関係がこじれることも。「自分で考え始めたんだな」と、その成長を見守りたいですね。  その過程で大事なのは、「何か悩みをかかえていないか」と詮索(せんさく)するより、毎日の暮らしを大切にすること。何げない会話、まなざし、食事…。家に帰るとほっとくつろげる生活が子どもを支える土台になります。その中で明らかに「おかしいな」と感じたときは「どうしたの?」と声をかけ、このときばかりは少々嫌がられても、ぜひとも積極的にかかわってください。  子どもが「大人になる」までには、いろんなことが起きます。それらを丸ごと受け止め、辛抱強く見守る。時には一緒に考え、つまずいても希望を見失わない。そういう姿勢が求められるのが、思春期の子育てではないでしょうか。