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2010年 「まいらいふ」3月号

化粧をして、短いスカートや胸が露出するような服を着て出かける中学2年の娘。注意すると、「みんなこれくらいの格好をしている、みんな化粧している」と反抗。どうすればいいの?

今回のご相談 熊本市 K 40歳

 中学2年の娘は、小学校のころから明るく、成績も良く、皆さんからほめていただくことが多かったのですが、最近は化粧をして、極端に短いスカートや胸が露出するような服を好んで着ては、出かけるようになりました。私が仕事をしているため、どんな格好で出かけているか知らず、帰ってきた姿にびっくりして注意すると、「みんなこれくらいの格好をしている、みんな化粧している」と反抗します。「みんながしていれば何でもして言い訳じゃない!」としかり、言い争いになりますが、何も変わりません。週末に夫がその姿を見て、私に「何とかしろ」と言いますが、これ以上一体何を言い、どうすればいい のでしょうか。


思春期の不安薄める仲間意識。 反発されてもかかわることが 子どもの自立への応援に
臨床心理士
植村照子
向陽台病院
リハビリテーション部長
熊本県スクールカウンセラー

 賢くて勘のよい子どもは、先読みして親が喜ぶ行動を取ることがあります。それはまさしく「親が望むよい子」で、本人もそれを望んでいるのですが、ずっと続けられるものではありません。  親から精神的に自立していこうとする思春期は、「親が自分にどうあってほしいか」から、「他人は自分をどう見ているのだろう」と、第三者の目を意識し始めます。娘さんはまさにその時期で、同じ格好やメークをする友達同士、互いに自分の存在を確認しあっているのだと思います。それが、自立に伴う不安や孤独を薄めてくれているのです。  ご心配の化粧や洋服の嗜好は、「私たちは仲間よ」という確認をより明確に欲しているからではないでしょうか。派手な格好や頻繁なメールなどは、不安の強い子に多く見られるようです。娘さんはどこかで思い通りに行かない自分に直面し、不安感を持ったのかもしれませんね。そういうサインを出しているのだと受け止めてみませんか。  そして、夫婦で娘さんのことを話し合ってはいかがでしょう。そうすればご主人も、もっと積極的にかかわるようになると思いますよ。また、時には娘さんの好きな雑誌を一緒に眺めて「お母さんもこの服は好き」などと、時間や話題を共有しませんか。一方で、お小遣いの額や門限など、「わが家のルール」を明確にし、守らせることも大事です。  思春期は、そういった親のかかわりに反発もするけれど、それがうれしくもある時期。仲間と外見を共有することでは根本的に解決しない、自己の確立への途上にいる子どもにとって、親の関心、かかわりが力強い応援になると思います。