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2009年 「まいらいふ」12月号

うつ病と診断され、病院に通っていますが家事も十分にできない状態。夫や子どもに申し訳なくて・・・

熊本市 M 45歳

 ここ1、2年ずっと体調が思わしくありません。少し動くとすぐ疲れてしまい、横になって過ごすことが多くなってしまいました。うつ病と診断され、病院に通っていますが、まだ家事も十分にできない状態です。いつも頭が重く、気分が晴れないので、みんなに嫌な思いをさせているだろうなと思うと、ますます落ち込んでしまいます。中1の子の小学校卒業式にも中学校入学式にも出席できませんでしたし、小5の下の子の世話もずっとできていません。夫に対しても申し訳ないのですが、子どもに申し訳なくて、こんな自分が情けなくて、涙が出るばかりです。


今は、できるときにできることをすればいいのでは。良い面にも目を向けて
臨床心理士
高木ひろみ

弓削病院
臨床心理科 科長
熊本県スクールカウンセラー

 母親として「何かしてあげたい」というお気持ちが強いだけに、できないことを余計に申し訳なく感じておられるのですね。  Mさんが診断されたうつ病の生涯有病率(一生のうち病気にかかる割合)は約14%。ストレス社会と言われる現代、体や心の不調を訴える方は年々増加しているように思います。  うつ病は、「調子の良いときはできるが、悪くなるとできない」という波があるため、怠けているように見られることもありますが、それは病気の特徴です。ご家族に「いつも同じようにみんなのお世話をしたいんだけど、今は病気でそれができないの。ゴメンね」と伝えて、できるときにできることをやっていけばいいのではありませんか。お子さんたちにとっては、お母さんが一緒にいてくれたり、話を聞いてくれたりすることが、何かをしてもらうよりもうれしいと思いますよ。  また、今はご家族で家事を分担、協力されているのだと思います。それは、お子さんたちにとっては自立の準備であり、家族の結束が強まることにもつながるのではないでしょうか。そんな良い面にも目を向けてみませんか。  状態が悪いと、「ずっとこのままじゃないか」という不安や、できていないことばかりに目が向き、焦りにつながりがちです。でも、実際は治療によって徐々に改善し、ちょっとした良い変化はたくさんあるはずです。そちらに視点を向けてみましょう。決してそのままの状態が続くわけではありませんから。