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2009年 「まいらいふ」9月号

中3の息子が学校のカウンセラーに「発達障害がある」といわれ困惑しています

今回のご相談 熊本市 46歳

 中3の息子が学校に来られるカウンセラーに、友達づきあいがうまくいかない悩みを相談したところ、私に連絡があり「発達障害が考えられるので、専門医を受診したほうがよい」とのアドバイスがありました。息子は、教科による得意不得意はあるものの、総じて成績優秀です。来春には進学校への受験を予定しており、合格圏内にいます。勉強が好きですごく集中する子なので、周りから浮いてしまうのかもしれませんが、病院に行くような必要があるとは思えません。受験という大事な時期に、そんなことを言われて困惑して います。


診断は、本人と周りの相互理解への第一歩。理解と連携で、個性が尊重される環境を
臨床心理士
植村孝子
はっとり心療クリニック
熊本電波高専非常勤カウンセラー
熊本県立大学非常勤カウンセラー

 お母様の困惑は、「成績優秀なうちの子が?」という疑問から生まれていると思います。  発達障害は、一つの病名ではなく、大きなカテゴリー(範疇(はんちゅう))を指します。そして、発達が劣っているのではなく、「異なっている」と理解してください。平成14年の文科省の調査では、知的発達の遅れがない発達障害は、全体の6.3%。彼らには、主に、社会性やコミュニケーション、想像力(切り替え・応用力)に関することで共通する特徴があります。  例えば「場の空気が読めない」「冗談が通じない」などと受け取られることが多いのですが、本人としては、 「気を使っているのに、浮いてしまう」「相手の気持ちが分からず、何と言っていいか分からない」と、悩んでいたりします。また、それらの特徴をからかわれ、疎外感を感じていることもあります。一方でその特徴は、「公平」「几帳面」「常識にとらわれないユニークな発想」「好きなことをやり遂げる力の高さ」など、多くの長所にもつながっています。  家庭など慣れ親しんだ環境では、その特徴が目立ちにくく、団体生活である学校で気づかれることは、よくあります。息子さんの話を聞いたスクールカウンセラー(SC)は、このような特徴があるのでは、と考えたのではないでしょうか。  学校という社会的集団の中で、特性を理解されない少数派は生きにくさを感じています。時には、いじめの被害を受けることもあります。診断は、本人と周りの相互理解のための第一歩。少数派の特性、個性が尊重される環境づくりには、学校全体での共通理解と連携が必要です。その橋渡し役をSCが務めます。  受験で大変な時期ではありますが、機会を見て、専門医か相談機関を訪ねてみてはいかがでしょうか。 ◎熊本県中央児童相談所 熊本市長嶺南2-3-3 熊本県福祉総合相談所内 ☎096-381-4451 ◎熊本県八代児童相談所 八代市西片町1660 八代地域振興局内  ☎0965-33-3247 ◎熊本市子ども発達支援センター 熊本市大江5-1-1 熊本市総合保健福祉センター・ウエルパルくまもと2F ☎096-366-8240