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2009年 「まいらいふ」8月号

高3の娘。彼氏から暴力を受けているようで、心配です

今回のご相談 熊本市 46歳

 先日、慌てた様子で帰ってきた高3の娘。うつむいたまま急いで部屋に入ってしまうなど様子がおかしかったので、どうしたのか尋ねると、「自転車で転んでけがをした」としか答えません。食事もいらないと言って、部屋から出てきません。翌朝、何があったのか聞くと、顔を背け、「うるさい」と言い、答えようとしません。携帯電話を持たせるようになって、交友関係などよく分からなくなりましたが、つきあっている人はいます。これまでは、特にどんなつきあいなのか聞き出すこともしてきませんでしたが、「彼に暴力を受けたのでは?」と思え、不安です。


若者に身近な問題「デートDV」被害を受け、混乱した本人にまず安心感を

 ご質問の文面からだけでは、どういうことが起きたのかよく分かりませんが、もし、親しい人から暴力を受けた疑いがあるのなら、娘さんを問いただすのではなく、まず優しく接してください。  DV(ドメスティックバイオレンス)は、夫婦など親密な間柄にある男女間の暴力を指しますが、交際中の相手から受ける暴力を「デートDV」と呼びます。2006年の内閣府の発表では、10代〜20代の時に交際相手から「身体的暴力」「心理的攻撃」「性的強要」のいずれかを受けたことがあると13.5%の人が答えています。若者にとって身近な問題なのです。  デートDVの背景には「女は男に従うものだ」「嫉妬(しっと)や束縛は愛情表現」といった間違った思い込みがあると考えられています。そのため、加害者は自分の暴力を相手のせいにし、被害者は「自分が悪いから」と考え、お互いにDVの自覚がありません。これを放っておくと、心理的に抜け出せない状況に陥ります。まず「これはDVだ」ということに気づかせることが大切です。  特に、初めて暴力を受けた時は、驚き、どう対処していいか分からない混乱した状態でしょう。事情を聞きたい感情を抑え、気持ちに寄り添い、優しく接することが求められます。そうすることで安心感を得られれば、少し落ち着いて振り返ることができることもあります。そうして何が起きたか話せる状況になったら、暴力はふるう人に責任があり、それは相手を尊重する対等な関係ではないことを話しましょう。  小さな暴力からスタートし、その加害被害関係を本人たちが否定することから、いつか逃れられない状況になる。これがDVの恐ろしさです。娘さんを見守りながら、必要と感じたら、DVの専門機関に相談されてはいかがでしょう。 熊本県女性相談センター (熊本県配偶者暴力相談支援センター) DV電話相談 ☎096-381-7110 ◎平日8:30〜22:00 ◎土日祝9:00〜22:00 熊本市総合女性センター総合相談室 ☎096-343-8306 ◎日・月を除く毎日10:00〜16:00  木曜は20:00まで