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2009年 「まいらいふ」6月号

高校に入学した息子が、「学校をやめたい」と言いだしました

今回のご相談 Sさん 42歳

無事志望校に合格し、高校に入学した息子が、「学校をやめたい」と言いだしました。ついこの前まで、その高校への進学を目指して一生懸命、受験勉強をしていただけに、私も夫も、面くらってしまいました。まだ入学間もないので「ちょっと待って。そんなに慌てないで」となだめて、学校に送りだしています。今後、きちんと話し合わなければと思っていますが、想定外の出来事に、何をどう伝えればいいのか、私自身の考えがまとまらない状況です。


息子さんの今の気持ちや考えをじっくり聞いて。自分で自分の環境を整えることは、大事な経験に。
くまもと心理カウンセリングセンター
臨床心理士
江崎(注:立つ崎)百美子(ゆみこ)
江尚絅大学講師
熊本犯罪被害者支援センター心理相談員
スクールカウンセラー
エイズ派遣カウンセラー

 希望していた学校なのに「やめたい」と言われて、びっくりされたことでしょう。「学校はこんな感じ」「クラスはこんなイメージ」という思いが強ければ強いほど、実際に入学した後の違和感が大きいということは、よくあることだと思います。  息子さんは今、「何かが違う」「この場から逃れたい」という追い詰められた精神状態にあるのかもしれません。やめてどうするかという次のことまでは考えられずにいるとしたら、人生について親子で真剣に話し合う良い機会と考えて、息子さんの今の気持ちや考えを尋ねてみましょう。時間をかけてじっくり話を聞いてみると、方向性が見えてくると思います。  その過程で、「学校、仕事、家庭…。思い通りにならないことや、想像していたことと違うことは、これからの人生に何度となくあるのでは」、「今いる場所を少しでも居心地の良い場所にする努力はしたのか」といったことを一緒に考えてみましょう。その上で、「思い描いていた学校像と違っていたから学校をやめる」という選択もあるし、「学校をやめないで自分たちの手でより良い学校をつくっていく」という選択もあるでしょう。  どちらにしても、人が作った環境に入るだけではなく、自分で自分のいる環境を整えていくことは、大事な経験になると思います。長い人生の中で、今何ができるのか(なすべきか)ということを親子でじっくり考えて結論が出せたら良いのではないでしょうか。