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2009年 「まいらいふ」3月号

拒食症の高3の娘。どうすれば通院させることができるでしょうか。

今回のご相談 43歳 母

拒食症の娘(高3)のことで相談です。中3ぐらいから、だんだん食事を取らなくなり、やせ細り、手足は関節だけが目立って、細い血管までが浮き出して見えています。生理も止まってしまい、「このままでは将来にかかわる」と半ば無理やり近くの小児科に連れて行きました。先生には従順で、ほっとしていたのですが、すぐに「もう治った」と言って、病院に行かなくなりました。実際には何も改善されず、体力もなく、普通の学校生活が送れない様子なのに…。どうすれば通院させることができるでしょうか。


「やせている、太っているに関係なく、あなたが心配なの」と伝えて。専門医や家族会への相談も視野に
臨床心理士
植村照子
向陽台病院
リハビリテーション部長
熊本県スクールカウンセラー

 娘さんは、とてもストイックで、真面目な性格なのですね。太ることからの恐怖から、食べ物を取らないと決め、やせる。やせたことに対して達成感があるため、自分が異常だとは思わないし、みんなが心配していても「身は軽いし、快適。大丈夫」と、やせているということを認めないのだと思います。さらに、「治療=太らされる」という恐れから、治療を拒んでいるのかもしれません。また、やせていく過程で、体がバランスを保とうと、血圧を下げたり、生理を止めたり、一生懸命に対応するため、血液検査などで数値に異常が出ないこともあります。そうすると、本人の意思なしに治療を続けるのは確かに難しくなりますね。  でも、きっと体は悲鳴を上げています。心も無意識のところでは「助けてほしい」と思っているでしょう。特に、寒さが残るこの時期は、皮下脂肪もなく体温が低い拒食症の人は、体のしんから冷え切っていることが多いもの。娘さんの手や体に触れて、「こんなに冷たくて辛いね。先生に相談してみようか?」と声をかけてみましょう。「やせている、太っているに関係なく、あなたが心配なの」というメッセージが届けば、再び治療をするきっかけにもつながるでしょう。  状況によっては、お母さんだけでかかりつけ医に相談に行かれたり、専門医を紹介したりしてもらいましょう。「摂食障害の家族の会」などもあります。同じ心配を抱える人たちとの交流から、子どもへの接し方などを知ることも良いことだと思います。