【専門医が書く 元気!の処方箋】
腰痛性疾患の最新治療
腰痛は日常よく起きる症状で、いろいろなことが原因となります。最も多い原因は腰椎(ようつい)の一部である椎間板や椎間関節の変性(老化による劣化)で、無理な姿勢を繰り返していると症状となって現れるといわれています。日々多忙な生活に追われている現代人にとって、腰痛性疾患を素早く治療し社会復帰することは重要な課題です。 今回はその最新治療法の紹介を含めて説明します。 |
はじめに |
「植木鉢を抱えた後から腰痛と足の痛みが始まり、一向に良くなりません」「歩くと腰からお尻にかけての痛みや足のしびれが出て、歩くのがおっくうになってきました」と腰痛を訴えて整形外科外来を受診される患者さんは後を絶ちません。自然治癒することもありますが、痛みが続く場合や、腰に加えて下肢(かし)の症状(痛み、しびれ)がある時には専門的な治療が必要となる場合があります。腰椎椎間板ヘルニア、脊椎分離症・脊椎すべり症および腰部脊柱管狭窄症はその代表的な疾患です。 |
◎脊椎内視鏡手術 |
【図1】内視鏡手術の様子
脊椎に内視鏡技術が導入されて10年ほど経過しますが、脊椎内視鏡手術では皮膚面から直径16ミリの筒型レトラクターを挿入して手術するため、背中を支える脊柱起立筋を剥離(はくり)する必要がなく術後疼痛が少ないとされています(図1)。 |
【図2】内視鏡手術の画像
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@腰椎椎間板ヘルニア |
@腰椎椎間板ヘルニア 【病態と症状】 |
【図3】
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【図4】ヘルニアによる神経圧迫
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【図5】間欠性破行
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最後に |
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症のすべての患者さんに脊椎内視鏡手術が行えるわけではありませんが、脊椎内視鏡手術は低侵襲であるために術後の疼痛が少なく、安静期間や入院期間が少ないのは確かです。 |
今回執筆いただいたのは |
熊本大学医学部附属病院整形外科
藤本 徹 助教 日本整形外科学会専門医 日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医 日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医 |