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「あれんじ」 2011年3月5日号

【ママの心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
子どもの「中耳炎」

 「夜泣きが激しいと思ったら中耳炎だった」という経験をしたことはありませんか。中耳炎は、乳児から小学生くらいまでに多くみられます。今回は、子どもの「中耳炎」についてお伝えします。

中耳炎とは(原因と症状) 

 耳の奥は、鼓膜(こまく)という薄い膜で外側と内側に分けられています。鼓膜の内側を中耳と呼び、耳管と呼ばれる管で口の奥とつながっています。かぜなどの炎症が耳管から中耳に広がったものが中耳炎です。
 中耳炎は、急性、慢性、滲出(しんしゅつ)性などに分けられます。子どもの中耳炎のほとんどは急性中耳炎です。抗生物質が効きにくい場合は治るのに時間がかかり、慢性中耳炎と呼ばれます。耳管の通りが悪く、中耳に液体が溜まると滲出性中耳炎になります。

〈中耳炎の見分け方〉
 3歳までに50%以上の子どもが中耳炎を経験しているといわれています。症状をうまく説明できないこともあるので、
@ 機嫌が悪い
A 耳を痛がる、耳をよく触る
B 片側から呼んでも振り向かない
などが重なったときは、中耳炎を疑います。


中耳炎の治療

 中耳炎の多くは細菌が原因なので、治療には抗生物質を使います。きちんと治すために5日間ぐらい抗生物質を飲み続けます。炎症が強いときには鼓膜を切開することもあります。また、鼓膜の一部が破れて膿(うみ)が出てくることもあります。ほとんどの場合、鼓膜は自然にふさがります。慢性中耳炎では、治療のために鼓膜にチューブを入れることがあります。滲出性中耳炎は耳管の通気がよくならないと治らないので、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など、原因となる病気の治療を同時に行います。


予防と、園や学校での注意点

 水泳は、発熱がなく体調がよければ可能ですが、鼓膜が破れていれば中止します。中耳炎の原因の一つが肺炎球菌で、最近予防接種ができるようになりました。予防接種を受けることで、中耳炎になる子どもが減るのではないかと期待されています。

〈注意点〉
@ 中耳炎の症状があればかかりつけ医に伝えてください。
A かぜの予防が中耳炎の予防につながります。
B 予防接種も早めに受けておきましょう。


熊本大学医学部附属病院
小児科
講師 中村公俊

 乳幼児の中耳炎には治療に時間がかかるものもあります。かかりつけ医と相談しながら治療法を決めましょう。