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「あれんじ」 2011年2月5日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第十回】慢性腎臓病と私

女性医療従事者によるリレーエッセー 【第十回】

【第十回】慢性腎臓病と私
松下会
あけぼのクリニック
 
 副院長 田中 元子

 腎臓専門医として20年、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease;CKD)の患者さんを助けたい一心で、毎日の診療を続けてきました。慢性腎臓病はわが国において8人に1人の割合でみられ、進行して腎不全になると週に3回、お正月休みもなく透析治療を受けることになってしまいます。腎臓病は自覚症状が出にくく、よくならない病気と思われている方も多いかもしれませんが、腎臓を守るお薬を用いて早期に治療を受けることにより、進行を抑制することができます。
 腎臓病治療を成功させるためには、患者さん自身の食事療法と私たち医師の腎臓を守るための薬物治療との共同作業が基本となります。患者さんとともに治療の経過を喜び合い、励ましあいながら治療に取り組んでいますが、「先生を信じて治療をがんばってよかった」「元子先生の顔を見るだけで元気になります」と喜んでくださる患者さんの笑顔を見るのが一番幸せです。
 こんな私も、自宅では二人のサッカー少年の母として活躍?しています。仕事に追われて疲れている私に、「お母さんも仕事がんばれよ」と声をかけてくれる息子たちにいつも励まされ、パワーをもらっています。
 温かい家族、友人、仲間に恵まれ、優しい声をかけてくださる患者さんとご家族の皆さんのお言葉、みんなに支えられ、感謝の気持ちで一杯です。これからも腎臓病の患者さんを助けるため、日々努力していきたいと思っています。