
【元気の処方箋】
出産後、誰にも起こり得る「産後うつ」
| 赤ちゃんの誕生は、両親をはじめ家族や友人など周囲のみんなを笑顔にします。その日から「お母さん」として、これまで以上に忙しい毎日になる女性に最も大切なのは、心身の健康です。今回は、出産後の女性なら誰にも起こり得る「産後うつ」についてお伝えします。 (取材・文=坂本ミオ イラスト=はしもとあさこ) |
| 執筆者 |
精神保健指定医
日本精神神経学会専門医・指導医 日本精神科救急学会認定医・指導医 精神保健判定医 熊本大学病院 神経精神科 |
| 【はじめに】 出産後に発症する抑うつ状態 |
出産は新しい命を迎える喜びに満ちた出来事です。一方で、女性の心と体には急激で大きな変化が生じます。中でも、出産後に発症する抑うつ状態を指す「産後うつ」は、気分の落ち込みや不安、意欲低下などが持続し、育児や日常生活に支障を来します。産後の女性の約10〜15%に見られるとされ、決してまれなものではありません。 |
| 【発症の要因】 女性ホルモンの急激な変動 育児負担、心理社会的ストレスも |
➀ホルモン変化
➁出産後の女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の急激な低下 ➂育児負担 ➃慣れない育児や授乳、家事の負担が心身の疲労につながる ➄周囲の支援不足 ➅パートナーや家族の理解不足。孤立。相談できる人がいない環境 F不安・ストレス G育児への不安、責任感。将来への心配など H睡眠不足 I夜間授乳や赤ちゃんの生活リズムにより睡眠が十分にとれない 上記の要因が重なることで、産後うつの発症リスクが高まります 産後うつの発症は、単一ではなく、複数の要因が関与しています。 |
| 【回復に向けて】 医療・子育て支援機関などに相談 周囲の共感的な関わりも大切 |
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➀気分の落ち込み ・悲しい、憂うつな気分が続く ・楽しく感じられない ・理由なく涙が出る ➁不眠/過眠 ・眠れない ・夜中に何度も目が覚める、または寝過ぎてしまう ➂不安・焦り ・理由のない不安や焦りが強くなる ➃意欲の低下 ・何をするにもやる気が出ない ・集中できない ➄育児への自信低下 ・育児に自信が持てない ・赤ちゃんに関心が持てないことがある ➅罪悪感・自己否定感 ・「母親として失格ではないか」という強い罪悪感がある F食欲の変化 ・食欲がない、または食べ過ぎてしまう これらの症状が2週間以上続く場合は、産後うつの可能性があります 産後うつは母親の健康だけでなく、子どもの発達や家族全体の生活にも大きな影響を及ぼします。しかし、早期に気付き、適切に対応することで改善が期待できます。精神科や心療内科に加え、産婦人科、地域の保健師、子育て支援機関など、多様な窓口で相談が可能です。 |
| 【症状・課題】 不安感や自信喪失 適切な理解と対応を |
STEP➀気付き
いつもと違う心や体の変化に気付きましょう 2週間以上症状が続いたら相談することを考えて 治療はそれぞれの状況に応じて行われ、休養の確保や環境調整、心理的支援が基本となります。必要に応じて薬物療法が検討されますが、授乳との両立を考慮しながら慎重に選択されます(図3)。 |
STEP➁相談 |
STEP➂支援・治療 |
早期の相談と支援・治療が、回復への第一歩です
STEP➃回復へ |
| 【おわりに】 一人で抱え込まず、早めに相談 |
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産後うつは出産後、誰にでも起こり得る状態であり、決して特別なものではありません。気になる変化があれば、一人で抱え込まず、早めに周囲や専門機関に相談することが大切です。 母親自身の心の健康を守ることが、子どもの健やかな成長にもつながります。 |
| 肥後医育振興会からのお知らせです |
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肥後医育振興会 桝田 浩 理事 第88回肥後医育塾「女性の気になるからだの悩み 〜月経・プレコンセプション・妊娠・更年期を健やかに〜」 |