【専門医が書く 元気!の処方箋】
知ってほしい COPD(慢性閉塞肺疾患)と呼吸リハビリテーション
COPD(慢性閉塞肺疾患)という病気をご存知ですか?聞き慣れないため自分には関係ないと思いがちですが、簡単にいえば“たばこによる肺の生活習慣病”。以前は慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれていた疾患が多くの患者さんに両方が合併していることなどから、COPDと呼ぶことになったそうです。 今回は、喫煙が主な原因となる身近な病気「COPD]と、その治療法の一つである「呼吸リハビリテーション」についてお伝えします。 |
長期間の喫煙が主な原因となる「COPD] |
図1
「階段や坂道を上ると息が切れるようになった」。−ある程度の年齢になれば、そういう感覚を持ったことがある人は多いでしょう。そんな時誰しも思うのは「年かな?」。「そこで、プラス『体の中で何か起きているかな?』と思って欲しい」と、藤井一彦先生は言います。というのもCOPDの症状は、まさしくこの息切れだからです。 |
治療に「呼吸リハビリテーション」を |
「COPDの発症を防ぎ、進行を止める最も効果的な方法は禁煙です」と藤井先生。これに薬物療法、呼吸リハビリテーションを加えることで症状を軽減し、日常生活の維持・改善ができます。 |
【コンディショニング】 |
コンディショニングとは、崩れた体の状態を整えること。つぶれやすく空気の通りが悪くなった気管支をつぶれにくくする呼吸法〜口すぼめ呼吸〜がその一つです。 |
【全身持久力・筋力トレーニング】 |
コンディショニングを行いながら全身持久力をつけていけば、より呼吸が楽になります。一番効果があるのは、足腰の筋肉を鍛えることです。そのために誰でも簡単にできるのが歩行トレーニング(ウォーキング)です。とくに口すぼめ呼吸で、ふ〜っと息を吐きながら歩くと効果的です。 |
おわりに 快適な生活をするための力をつけよう |
少しの運動で息切れするようになると、運動することが億劫になります。動かなければ息切れすることもなく、自分に不都合な体の変化を自覚せずに済みます。しかしそうしていると筋力が一段と弱り、さらに呼吸するのが苦しくなってしまいます。それでまた動かなくなる…。COPDが進んで、こうして「負のスパイラル」に陥ると、入浴中に背中や頭髪を洗おうとしても苦しくて思うように洗えない、布団の上げ下ろしが苦しくなる、着替える際に腕を片方通しては一休みしないと次の動きに移れない…と、日常生活がつらくなってきます。 |
今回教えてくださったのは |
熊本大学大学院生命科学研究部
呼吸器病態学分野 藤井 一彦 講師 日本内科学会認定医 日本呼吸器学会専門医 日本アレルギー学会専門医 |