
【元気の処方箋】
免疫反応の”見張り番” 制御性T細胞<Treg(ティーレグ)さん>
| 「細胞」は、生物の体を構成する最小単位です。「私たちの体で頑張っている細胞のことをもっと知ってもらおう」と、多様な細胞から一つを取り上げ解説するシリーズをお届けします(不定期掲載)。今回は免疫の働きを制御する「制御性T細胞」について、当企画を監修している肥後医育振興会の松下修三理事長に寄稿してもらいました。 (取材・文=坂本ミオ イラスト=はしもとあさこ) |
| 執筆者 |
肥後医育振興会 理事長
松下 修三さん 熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター |
| はじめに |
私がTregです
2025年のノーベル生理学・医学賞が、日本人の免疫学者で大阪大学免疫学フロンティア研究センターの坂口志文特任教授(特別栄誉教授)に授与されたことは、皆さんご存じだと思います。坂口博士が発見したのが、「制御性T細胞」という免疫細胞です。 |
| 「Tregさん」のお仕事は?−免疫反応を適正にコントロール |
Tregさんが果たす役割を簡単に言うと、免疫反応の“見張り番”です。 |
| 難病の原因解明にも一役 |
今回のノーベル賞にはもう一つの重要な遺伝子の発見が関わっています。それは「FOXP3」という遺伝子です。 |
| 「Tregさん」と健康−幅広い治療法への応用に期待 |
Tregさんは、私たちの免疫機能の基本である、自己の組織は攻撃対象としない「自己寛容」の働きと、病原体や異物に対する免疫反応を適正なレベルに抑える調節機能を果たしています(図)。Tregさんの機能が弱いと、アレルギーや自己免疫疾患(自己免疫性甲状腺炎、関節リウマチ、炎症性腸炎、全身性エリテマトーデスなど)の病気を発症する可能性が高くなります。 |
| [図]制御性T細胞(「Tregさん」)の主な働き |
(坂口 志文,藤尾 圭志、2026.01.13 医学界新聞:第3581号より新年号特集
免疫の謎を解き明かす、ノーベル生理学・医学賞 受賞記念インタビュー、制御性T細胞が問いかける,自己と非自己の境界線 から作成) Tregは免疫細胞が自身の細胞や組織を攻撃することを防いで自己寛容を維持しており、その破綻は自己免疫疾患を引き起こす。また、Tregは生体防御としての免疫機能の抑制にも関わり、過剰な抑制はがんや病原体の増殖を、抑制の不足は過度の免疫反応による炎症を引き起こす。 |
| この紙面を監修する「肥後医育振興会」とは… |
肥後医育振興会
早野 恵子 理事 医学教育や研究を助成し、地域医療の向上と健康増進を図る公益法人です。 |
| 募集中! |
|
紙面の感想や、知りたい医療情報についてのご意見をお寄せください |