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「すぱいす」 2026年2月号

【医療従事者によるリレーエッセー 一枚の処方箋から】
慈愛の心 医心伝心 vol.143

慈愛の心 医心伝心 vol.143

慈愛の心 医心伝心 vol.143

「自分は確かにステージ4だけど、笑って生きようと思えるようになりました。がん相談支援センターを紹介してくれてありがとう。そして、これからもよろしく!」

こう言われた患者さんとの出会いは、便秘薬が書かれた一枚の処方箋でした。

私は保険薬局の薬剤師です。調剤前の聞き取りで、その患者さんは抗がん剤治療が始まったことを話されるや、せきを切ったように、がんに対する不安、恐怖、絶望…の言葉があふれ出てきました。その様子に「薬局窓口だけでの対応は困難。専門的な傾聴が必要」と判断し、普段から連携している「がん相談支援センター」に面談を依頼しました。

数日後、薬局に再来された際に発せられたのが冒頭の言葉でした。

2人に1人ががんになる時代。がん拠点病院が整備され、がん相談支援センターでは患者さんやご家族に細やかな支援が行われています。しかし、そこにたどり着かない方が多いのも事実です。「がん医療ネットワークナビゲーター(がんナビ)」には、必要な支援ができる場所へおつなぎする役目があります。

地域の保険薬局の薬剤師は、普段から接している患者さんのお話や処方箋、お薬手帳から、ちょっとした変化に気付きます。そこで一言声をかけることが、問題解決の糸口になることを数多く経験してきました。

私は、乳がんの経験者でもあります。医療者であり、がんの当事者であるという特性を生かし、がん患者さんやご家族に寄り添っていきたいと思っています。


執筆者
なないろ薬局田迎店 管理薬剤師
出水南がんサロン世話人
認定がん医療ネットワーク シニアナビゲーター
松田 陽子さん

認定がん医療ネットワーク シニアナビゲーターとは…
がん患者とその家族が安心して暮らせるよう、がん拠点病院やがん相談員につなぐ役割を担う資格者。日本癌治療学会が認定する