
【元気の処方箋】
知っていますか「帯状疱疹(ほうしん)」 今やワクチンで予防できる病気に
| 強い痛みが特徴の「帯状疱疹」。最近、その予防にワクチン接種を勧める広報を目にする機会が増えました。今回は、帯状疱疹と、そのワクチンについてお伝えします。 (取材・文=坂本ミオ イラスト=はしもとあさこ) |
| 執筆者 |
熊本大学病院 皮膚科 教授 福島 聡さん
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 |
| 【帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛】原因は「水ぼうそう」のウイルス 神経の奥に潜んで静かに生存 |
[図1]帯状疱疹発症の仕組み
「ある日突然、体の片側に赤い発疹と強い痛みが走る。しばらくして皮膚の発疹は治ったのに、体の奥の痛みだけが何カ月も続く」。そんな経験をされた方はいませんか。これは「帯状疱疹」と、その後遺症「帯状疱疹後神経痛(PHN)」の典型的な経過です。 |
| 【症状】片側に強い痛みと帯状の発疹 長期間にわたり続く後遺症も |
[図2]帯状疱疹の症状
宮崎県で10年間にわたって行われた大規模調査では、80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験すると推定されました。患者数は高齢化に伴って年々増加し、特に女性や60歳以上の世代で目立ちます。 |
さらに恐ろしいのは、発疹が治った後も痛みが長期にわたって残るPHNです。夜も眠れないほどの痛みに苦しみ、日常生活に大きな支障を来す場合も少なくありません。 |
| 【帯状疱疹を予防するワクチン】予防に使うのは2種類 それぞれに特徴と注意点 |
[表]2種類の帯状疱疹ワクチンの相違点
現在、日本で帯状疱疹の予防に使えるワクチンは2種類あります(表)。それぞれに特徴と注意点があるため、理解しておくことが大切です。 |
| どのワクチンにするか かかりつけ医と相談を |
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どちらのワクチンも50歳以上が対象となっています。 |
| 高齢者は定期接種に 熊本市では費用助成も |
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帯状疱疹ワクチンは2025年度から定期接種になりました。対象は各年度に65歳を迎える人。また、29年度までの5年間は各年度に70、75、80、85、90、95、100歳になる人も対象です。 |
| 【おわりに】ワクチン接種は大切な選択肢の一つ |
帯状疱疹は「年齢とともに避けられないもの」と考えられてきましたが、ワクチンで予防できる時代になりました。 |