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「すぱいす」 2025年5月23日号

【子育て応援クリニック】
百日ぜき【家族の心配・不安に応えるQ&A】

Q.「百日ぜき」が大流行と聞きました。どうすれば感染を防げますか。

すでに昨年1年間の約3倍に

「百日ぜき」は今年、すでに昨年1年間の発生数の約3倍に達しています。せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)や汚染された物品を触ることなどで菌に感染、7日程度の潜伏期間を経て発症します。せきや鼻水など一般的な風邪の症状で始まり、次第にせきが激しくなります。その後、連続したせき込みの後、息を吸うときに笛の音のようなヒューという音が出る(ウープ)発作の繰り返しが約2〜3週間持続します。

嘔吐(おうと)や、顔が鬱血(うっけつ)して皮下出血や目の結膜出血、鼻血などが見られるほど激しくせき込むことも。特に生後間もない乳児ではうまく息継ぎができず、死亡することがあります。

無治療の場合、排菌に要する時間は3週間ほどですが、抗生剤の使用で5日ほどに短縮できます。しかし最近、抗生剤が効きにくい耐性菌が増えており、感染急増の原因の一つと考えられています。それだけにワクチン接種での予防が重要です。


生後2カ月になったら予防接種

1歳未満の乳児が重症化しやすいため、日本では生後2カ月目から百日ぜきなどを予防する5種混合ワクチンの定期接種が行われています。ただ、3回の接種が終了しないと十分な免疫が獲得できないことや、日本の接種方法では4〜12年経過後に免疫が低下することが知られています。そのため、小中高校生や成人など、免疫低下後の感染が増えているのです。

赤ちゃんは生後2カ月に入ったらすぐに予防接種をしましょう。海外では免疫低下を抑えるために就学前と11歳頃の2回の追加接種が推奨されています。日本では任意接種となるため、対象年齢の子どもや妊娠出産の予定があるご家庭では一度かかりつけ医に相談してみましょう。


熊本大学病院新生児学寄附講座特任教授 松本 志郎さん

抗生剤が効きにくい耐性菌が増加。ワクチン接種での予防が大事