【元気!の処方箋】
幅広い年代に湿疹やかゆみ アトピー性皮膚炎
「アトピー性皮膚炎」は、幅広い年代で多くの人が悩まされる疾患です。症状が慢性化する印象がありますが、最近では治療の選択肢が広がっているそうです。症状や最新の治療法についてお伝えします。 (編集=坂本ミオ イラスト=はしもとあさこ) |
執筆者 |
熊本大学病院 皮膚科 助教 |
はじめに |
全国の患者数は約51万人 |
症状 多様な皮膚症状に伴う「かゆみ」 |
湿疹とは、皮膚の表層に起こる炎症の総称で、皮膚炎とも呼ばれます。具体的には、皮膚が赤くなる、ぶつぶつができる、乾燥してカサカサする、ゴワゴワして硬くなる、かさぶたができる―など、さまざまな症状が現れます。 |
年齢によって発症部位が変化 |
アトピー性皮膚炎の症状は、年齢によって現れる場所が変わります。 |
かゆみなどで生活の質が低下 |
アトピー性皮膚炎は、皮膚症状のために、日常生活にさまざまな影響を及ぼします。かゆみで夜ぐっすり眠れない、勉強や仕事に集中できない、汗をかいたままにしていると皮膚炎が悪化するためスポーツができない、かゆくなるので好きな服を着られない―など、生活のあらゆる場面で不快・不便を感じます。 |
治療 炎症を抑え、悪化を予防 |
治療の第一の目標は、薬を使って湿疹やかゆみを短期間でしっかり抑え、皮膚を「つるつるすべすべ」の状態にすることです。これを「寛解導入」と呼びます。 |
ステロイド外用薬を適切に使用 |
アトピー性皮膚炎では、速やかに炎症を抑えるためにステロイド外用薬を中心とした塗り薬の治療を行います。ステロイド外用薬、皮膚で起きている炎症を早期に鎮め、かゆみや赤みを抑える効果的な薬です。 |
生物学的製剤などの新薬も |
近年、塗り薬では効果が不十分な中等度から重度の患者さんに対して、注射や飲み薬である「生物学的製剤」や「JAK阻害薬」といった新しい薬が使用できるようになっています。これらの薬は、体内のアレルギーに関与する炎症物質を抑え、アトピー性皮膚炎の症状を改善させます。 |
自己判断による治療中断は禁物 |
アトピー性皮膚炎は計画的な治療が必要な病気です。 |
おわりに |
一人一人に合った治療を |