この夏、「24時間テレビ」でタレントのやす子さんが支援を呼びかけたことで、多くの人が児童養護施設に関心を持つようになったのではないでしょうか。
私は小児科医として水俣の総合医療センターに勤務しています。今年度から、地元の二つの児童養護施設に関わるようになりました。施設では、親と暮らせなくなった子どもたちが熊本県内から集まり、共同生活を送っています。どんな理由であれ、親と離れて暮らすのはつらいことです。
私たちは、入所前の健康診断を行い、その後も病気に応じた定期的な外来受診に対応しています。診療を通じて子どもたちと話す機会があります。皆さん明るく元気に、どんなことがあったかを話してくれます。子どもたちは施設職員の方々とも本当の家族のように笑ったり怒ったりしながら会話しています。しかし、ある子が「家族と暮らしたい」と言ったことが忘れられません。
子育てに困っている方が気軽に相談できる環境を整えることは、社会全体の課題です。家族と離れ離れになる子どもたちが少しでも減るように、地域で支え合っていきたいと考えています。また、現在入所している子どもたちが水俣の自然の中ですてきな思い出をつくれることを願っています。
私自身、この地域での経験を通じて多くのことを学ばせてもらっています。子どもたちの未来が明るいものであるよう、引き続き努力していきたいと思っています。 |