女性ホルモンの減少により高まる生活習慣病などのリスク
更年期は、閉経前後の5年間ずつ、合わせて約10年間の時期を指します。
日本人女性の閉経年齢は平均49・5歳ですので、おおむね45歳から55歳が更年期に当たります。この時期には、加齢に伴う変化や更年期特有の症状が現れます。
まず、年齢を重ねると脂肪がつきやすくなり、筋力は落ちやすく体形も変わります。また、目には見えませんが、血管が硬くなったり、骨がもろくなったりします。
さらに、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が高血圧や脂質異常症などの生活習慣病、骨粗しょう症のリスクを高めます(図・左ページ)。健康で豊かな生活を送るためにも、運動や食生活の見直しを早めに行い、病気の予防を心がけることが重要です。
のぼせや発汗、肩こり、耳鳴りうつや不眠などの精神症状も
次 に更年期特有の症状について説明します。最も代表的な症状は「ホットフラッシュと呼ばれる、のぼせや発汗などの血管運動神経症状です。その他、倦怠感やうつ、不眠などの精神症状が現れることがあります。さらに、耳鳴りや肩こりなども見られます。
これらの症状のうちホットフラッシュが広く知られていますが、日本人では、倦怠感、肩こり、物忘れなどの頻度が高いとされています。
大半の女性が症状を経験生活に支障あれば治療
大半の女性が更年期の症状を経験しますが、その程度には個人差があります。日常生活に支障を来すほどの症状が出る場合に「更年期障害」と呼
れ、治療の対象となります。
更年期障害は身体的変化、精神・心理的要因、社
会文化的な環境因子が複合的に影響し、多様な症状を引き起こすため、明確な診断基準はありません。症状に困っている人の話を聞き、一人一人の症状に応じた治療を行います。 |