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「あれんじ」 2010年12月25日号

【専門医が書く 元気!の処方箋】
ますます元気な「くまもと」へ! 〜2011年 熊本の医療・健康トピックス

 新しい年の始まり。誰しも1年の健康をまず祈るのではないでしょうか。それを支える医療体制や環境整備の重要性は増すばかりです。そこで、2011年最初の「元気の処方箋」では、熊本の地域医療の展望を示すとともに医療と健康に関する2011年のトピックスを紹介します。

二次医療圏の充実に 医師派遣や修学資金貸与制度

 1年間、元気に楽しく過ごしたいですね。そのためには、規則的な生活や食事に気を付け、適度に運動するなどの健康管理を心掛けることが第一です。そして、「具合が悪いな」と感じたら早めにかかりつけ医に診てもらい、いつもと違う心配なことがあれば、必要に応じて専門医のいる医療機関を受診し、治療を受ける。―これが、不調や病気に対する一般的な心構えだといえます。
 そうした医療環境が整っているかを考えるとき、一つの目安となるのが医師の数です。熊本は、10万人当たりの医師数が全国平均の212・9人に対し、244・4人と上回り、全国12位(平成20年度)。医師数としては決して悪くない状況ですが、全国的に問題になっているように地域によるばらつきはあります。熊本県健康福祉部医療政策総室の藤中高子副総室長は「熊本市に集中している高次医療を担う三次医療機関は全国トップクラス。今後の課題は、二次医療圏をどう充実させ、連携していくか」と話します。(※1)
 どこに住んでいても同じように医療が受けられるようにと県が取り組んでいることの一つが、熊本大学医学部附属病院と連携しての医師派遣です。現在、県内各地域の公的病院などに18人の医師が派遣されています。
 もう一つの取り組みが、平成21年度から始めた熊本県医師修学資金貸与制度です。地域に必要な医療を確保するため、医師が不足する地域の病院に医師として業務に従事しようとする熊本大学医学部の学生に修学資金を貸与します。これから入学する人、すでに在学中の人(一年生)両方に枠があり、初年度に5人、今年度6人がこの制度を利用しています。


【※1】

■一次医療圏
身近な医療を提供する区域のこと。市町村を単位として設定。
■二次医療圏
特殊な医療を除く一般的な医療について病院の病床の整備を図る区域のこと。現在、熊本県は保健所の所管と同じ11医療圏を設定。
「日本で行われている生殖補助医療」
■三次医療圏
高度で特殊な治療を必要とする病院の病床の確保を図る地域的単位。県全体を圏域として設定。


地域医療を体験できる 養成プログラムがスタート

 さらに2011年4月からスタートするのが、医師が地域でさまざまな症例を経験することができる「総合医養成プログラム」です。卒後3年目から5年目の臨床研修を終了した医師を中心に、卒後10年程度の臨床経験を持つ医師ですでに専門医の資格がある方、出産、育児、介護、傷病などの事情でいったん医療現場を離れたが総合医として現場復帰を希望する方などを対象に、参加医師に応じた柔軟なプログラムを予定しているといいます(※2)。
 基本的には、地域医療に必要な幅広い臨床の知識と技術を習得後、3〜6カ月間の予定で地域医療の実地経験を積むというもの。「卒後3年目から5年目の臨床研修を終了した医師にとっては、後期研修をしている間に地域医療が経験できるという仕組みです。総合医とは、専門的分野だけでなく幅広い診療のできる医師を指します。専門を勉強する間に、幅広い臨床経験があった方がいいと思います。この機会に地域医療を体験してほしい」と、藤中副総室長。
 これらの施策で県は、「地域で活躍する医師の充実を」と、取り組んでいます。地域医療の将来を考えれば、私たち患者側も、過剰な専門医志向を持たないことなどが求められているのではないでしょうか。


【※2 プログラム作成医療機関(お問い合わせ先:順不同)】

○国立病院機構熊本医療センター ☎096-353-6501
○熊本赤十字病院         ☎096-384-2111
○済生会熊本病院        ☎096-351-8000
○熊本中央病院         ☎096-370-3111
○NTT西日本九州病院     ☎096-364-6000
○人吉総合病院         ☎0966-22-2191
○荒尾市民病院         ☎0968-63-1115


医療トピックス 救命率の向上に貢献 2011年末 救急医療用ヘリコプター 「ドクターヘリ」本格稼働
【■へリを活用した救急医療体制】

 医師や看護師が搭乗し、その管理下で重傷(症)者を高次救急医療機関に素早く搬送できる救急医療用ヘリコプター。「ドクターヘリ」という呼称は一般にも知られるようになってきました。熊本県では、このドクターヘリの2011年末ごろの本格稼働に向けて、熊本赤十字病院(熊本市)を基地病院として準備を進めています。
 熊本県ではこれまで、2001年に導入した防災消防ヘリ「ひばり」が、1機当たりの出動率全国2位と、突出した救急活動を行うとともに、必要に応じて医師などが搭乗するドクターヘリ的な活動に取り組んできました。
 ドクターヘリ導入後は2機体制となり、ドクターヘリは主に現場救急事案に対応。防災消防ヘリは主に患者の重症化に伴う病院間の搬送事案に対応という役割分担のもと、運航します。この機能分担を基本に、どちらかが対応できない場合は互いにその役割を補完し合うことで、県民の安心・安全をより一層守る「熊本型」ヘリ救急搬送体制を作り上げたいとしています。
 比較的充実しているといえる熊本県の救急医療体制。その基本は、地域医療の充実と救急車による迅速な搬送です。ドクターヘリは、それをさらに良くし、私たちの生活を守るための一つの手段。決して万能ではなく、夜間や悪天候時などには飛べません。また、救急車のように傷病者が自分で呼べるものではなく、緊急性と重症度に応じて各消防本部が要請します。


健康トピックス 全国から約1万人が参加 スポーツ、文化、健康、 福祉の祭典「ねんりんピック」開催

 高齢者を中心としたスポーツ・文化・健康・福祉の祭典である「ねんりんピック(全国健康福祉祭)」が、2011年10月15日(土)から18日(火)まで熊本県で開催されます。
 「火の国に 燃えろ! ねんりん夢・未来」をテーマに開催される第24回全国健康福祉祭くまもと大会(ねんりんピック2011(ふれ愛)熊本)。県内の9市4町で繰り広げられる22種目の交流大会(スポーツ交流大会10・ふれあいスポーツ交流大会8・文化交流大会4)の参加資格は、基本的に60歳以上ですが、マラソンやウオークラリー、俳句には、一般参加の部などもあります。また、期間中は、健康関連イベント、福祉・生きがい関連イベントなどさまざまなイベントも開催されます。選手・役員は1万人程度、観客を含めた期間中の参加者は延べ50万人と予想されています。
 九州新幹線全線開業後に熊本で行われる大きな全国大会でもある「ねんりんピック」。大会終了後の観光を楽しみに訪れる人たちも多いそうです。
 選手、ボランティア、観客など全国から多くの方々を迎えて、世代を超えた楽しい交流の場になればうれしいですね。