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「すぱいす」 2024年5月24日号

【【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニック】】
乳児のかみ合わせ

Q.子どもの歯並びをきれいにするには、何に気を付ければいいですか。

1歳半の約20%に咬合(こうごう)異常

乳歯は6カ月ごろから生え始め、3歳くらいまでに20本が生えそろいます。将来、永久歯が生えやすいように少し隙間があるのが理想的です。上下の歯列がきれいに並んでいることは見た目の美しさだけでなく、機能面にも大きく影響します。

上下の歯列が整っていても、かみ合わせた際に上と下の歯列が前後・左右にずれている場合は過蓋(かがい)咬合、反対咬合、交差咬合などの咬合(かみ合わせ)異常の状態にあります。「2021年度熊本県歯科健康診査実施状況」によると、1歳6カ月の約20%が咬合異常と診断されています。

乳児は骨が軟らかいため、咬合異常があっても顎(がく)関節への影響は少ないのですが、骨が固まり始める中学生ごろまで咬合異常が続くと顎関節症になりやすくなります。また、咬合異常は咀嚼(そしゃく)のみならず、飲み込みや発音にも影響します。


家族の関わりで改善

咬合異常の遺伝的要素は2割といわれています。8割は環境的要因であり、家族の関わりによって改善すると考えられています。

乳児の咬合異常は、実は意外なことから始まっています。出生後すぐに赤ちゃんがする「鼻呼吸」「睡眠」「哺乳」が心地よく行われていると、口を含めて体が健康に育ちます。赤ちゃんの鼻づまりや、授乳時の抱っこの姿勢に気を付けることが大切です。頭がのけぞるような姿勢で寝せると、赤ちゃんの口が開き舌が下がってしまい、良い睡眠がとれません。良い哺乳と呼吸は、乳歯が生えてからの良い咀嚼につながり、良い歯並びに導きます。「病は治るが癖は治らぬ」といわれます。

咬合異常が疑われたら専門家に相談してください。


歯ならびの歯医者さん院長 泉 朝望(いずみ あさみ)さん

良い歯並びは良い哺乳と呼吸から。赤ちゃんの時から気を付けて