【【元気!の処方箋】】
熊本地震から8年 改めて考えたい 災害時の医療
熊本地震から8年。時とともに忘れがちな備えや心構えを、元日に起きた能登半島地震で再認識した人も多かったのではないでしょうか。今回は、災害時の医療体制について熊本大学病院災害医療教育研究センターの笠岡俊志センター長に話を聞きました。(取材・文=坂本ミオ イラスト=はしもとあさこ) |
【はじめに】 災害時の医療体制整備 阪神・淡路大震災がきっかけ |
災害はいつどこで起きるか分かりません。ひとたび災害に見舞われると多くの負傷者が発生し、重篤な救急患者の搬送が必要になります。医療は被災したからといって止められないどころか、急激に需要が高まります。一方で、施設の損壊や停電、断水などの状態に陥り、病院の機能は低下します。そのために患者を受け入れられなくなるなど、医療の需給バランスが大きく崩れてしまいます。 |
【医療機関の備え】 |
【図】県内の災害拠点病院
◆「災害拠点病院」県内では15カ所指定 |
【災害医療の人材養成】 多職種連携がテーマ 医療従事者向けに講座 |
災害時の医療を充実させるため普段からできることに人材の養成があります。熊本大学病院では熊本地震の経験を災害医療に生かすため、2018年10月に「災害医療教育研究センター」を新設。災害医療に従事する人材の養成とともに、行政や地域医療との連携、市民への防災教育などを行っています。 |
【MEMO】 DMAT(ディーマット)とは |
能登半島地震の支援(石川県穴水町)に向かった熊大病院DMAT隊員(右端が笠岡俊志センター長)
専門的な研修・訓練を受け、災害急性期に活動できる機動性を持った「災害派遣医療チーム」の呼称。Disaster Medical Assistance Team の頭文字を取っています。医師、看護師、業務調整員が1チームを構成。熊本では災害拠点病院と熊本大学病院の16の指定医療機関に整備されています。 |
【私たちにできること】 |
◆地域の災害リスクを知ろう |
【笠岡先生からのアドバイス】「トイレ」は待ったなし! 必ず準備を |
被災時の備えとして、水や食料がすぐ浮かぶと思いますが、忘れてならないのが「トイレ」です。 |
【おわりに】 命を助ける「自助」「共助」 |
災害時によく聞く「自助・共助・公助」。発災時、まずは自ら逃げる「自助」。そして皆で助け合う「共助」。これによって多くの命が助かります。やや遅れて力を発揮するのが、自治体や国が行う支援である「公助」といえます。 |
話を聞いたのは |
熊本大学病院 |