◆痛み、発熱もある急性中耳炎
鼓膜の奥の中耳で炎症を起こすのが「中耳炎」です。たくさん種類がある中で幼少期に起こりやすいのは、急性中耳炎と滲出(しんしゅつ)性中耳炎です。
急性中耳炎は耳の痛みを伴い、子どもでは発熱の原因にもなります。中耳は耳管という管で鼻の中とつながっており、鼻の細菌やウイルスが耳管を経由して中耳に入ることで生じます。抗菌薬の内服や耳の処置、膿がたまった場合は必要に応じて鼓膜を切開し膿を出して治療します。
抗菌薬での治療が中途半端になってしまうと耐性菌ができることもあるため、治りきるまで通院しましょう。
短期間に複数回、急性中耳炎になる反復性中耳炎は、特に2歳未満では免疫機能が十分でないため起こりやすく、注意が必要です。
◆耳が詰まった感じの滲出性中耳炎
滲出性中耳炎は、耳管の機能が低下し、組織から出た滲出液が中耳にたまってしまった状態です。感染を合併しなければ通常は痛みを伴いません。へんとうの肥大や鼻炎など何らかの原因で耳管が狭くなったり、閉塞したりすることで発症し、耳が詰まった感じで気付きます。
まずは内服薬で治療しますが、難聴が生じた場合や鼓膜の癒着を伴う場合は、鼓膜に換気のための孔(小さな穴)をあけ、その孔が閉じないようにチューブを留置する手術をします。
幼い子どもは自分で症状を訴えることができません。「発熱」や「耳をよく触る」「呼びかけても振り向かない」などのサインを見逃さず、早期に耳鼻咽喉科を受診しましょう。症状が長引いたり重症化したりすることを防げます。 |