すぱいすのページ

トップページすぱいすのページ「すぱいす」 2023年10月27日号 > Q 食物アレルギーがあれば、一切食べさせられないのでしょうか。

「すぱいす」 2023年10月27日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニックQ&A】
Q 食物アレルギーがあれば、一切食べさせられないのでしょうか。

原因食品の完全除去から 「食べられる量を摂取する」に変わった治療法

鶏卵や小麦、クルミなどで発症

食物アレルギーにはいくつかタイプがありますが、今回は小児で最も一般的な「即時型食物アレルギー」についてお伝えします。
 食物アレルギーは、本来、体を守るはずの免疫反応が、害のない食物に対して過剰に働いてしまう現象です。じんましんや嘔吐(おうと)、咳(せき)など全身に症状が見られ、時にアナフィラキシーという重い症状を起こすこともあります。赤ちゃんが鶏卵、牛乳、小麦を原因として発症するケースが最も多いのですが、最近、クルミやカシューナッツのアレルギーも増えています。
 食物アレルギーの診療は近年大きく変わりました。以前は食物アレルギーの治療は原因食物の完全除去でした。しかし、その後の研究で、むしろ食べられる量を摂取することで食物アレルギーが治る可能性が高くなることが分かりました。加えて、アトピ−性皮膚炎や湿疹は食物アレルギーの発症に大きく関わるため、しっかり治療することが大事です。


「食物経口負荷試験」を

 原因食品の正しい診断は最も重要です。よくある間違いとして、血液検査の結果が陽性だったからと除去しているケースがありますが、血液検査だけでは診断できません。問診と血液検査などで疑われた食品について、病院で実際に食べてみる「食物経口負荷試験」を行うことが一般的です。負荷試験で食べられる量を調べ、段階的に摂取量を増やし除去解除を目指します。
 不安な食べ物があれば、かかりつけ医が開いている平日の日中に、少量から試してみると安心です。食物アレルギーが心配な際は、小児科医にご相談ください。


国立病院機構熊本医療センター
小児科 医師
渡邊 優