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「すぱいす」 2023年5月26日号

【家族の心配・不安に応えるQ&A 子育て応援クリニック】
Q この時季は熱中症が心配です。気を付けるポイントは?

気温、湿度に加え
発症しやすい行動や体の状態を知っておきましょう

車内への閉じ込めに注意

 熱中症は、気温や湿度の変化に適応できず体温が上がり、水分や塩分のバランスが崩れることでさまざまな症状を引き起こす病気です。
 気温や湿度の高さだけではなく、体の状態(下痢などの体調不良)、年齢(乳幼児や高齢者)、行動(慣れない運動、長時間の野外活動、水分を取らないなど)が組み合わさって発症します。発症しやすい状況を知っておくことが大事です。
 例えば乳幼児は車内への閉じ込め事故、小中高生は部活や運動時、高齢者は自宅での熱中症が多いことが知られています。
 車の中は、子どもと大人では座位の高さが異なり体感温度が違う、温室効果によって急激に温度が上昇するーなどから注意が必要です。子どもを車の中に置いたまま決して離れてはいけません。


暑さ指数(WBGT)も参考に

 また、中高生になっても体調の変化を初期に自覚することは難しく、周囲のサポートが大事です。急に顔が赤くなる、体が熱い、頭痛、気分が悪い、ぐったりする、こむら返りなどが初期の症状です。涼しい場所でミネラルを含む水分を取らせましょう。しばらく目を離さず、よくならない場合にはすぐに病院へ行きましょう。
 症状が出ると危険ですので、予防が大事です。喉が渇く前の定期的な水分補給、汗をかき暑さに体を慣れさせる工夫もしたいものです。もちろん体調が悪い場合に無理して運動してはいけません。
 環境省が「暑さ指数(WBGT)」という熱中症の発生しやすい条件を数値化して地域ごとに発表しています。登録すればLINEで熱中症警戒情報を送付してくれます。熱中症に気をつけて、熊本の暑い夏を乗り切りましょう。


熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学講座 准教授
松本 志郎