【元気の処方箋】
「がんを知ろう」シリーズ@ 大きく進んだ肺がん診療
最近のデータでは、日本人の2人に1人が一生のうちにがんと診断されるとされています。他人事ではないだけに正しい情報を知っておきたいものです。そこで今回はがん死亡数1位の肺がんを、次回は罹患(りかん)数1位の大腸がんを取り上げ、診断や治療についてお伝えします。(編集=坂本ミオ イラスト=はしもとあさこ) |
【はじめに】 改善している治療経過 |
【図1】肺がんによる死亡者数(全国・2020年)
出典:国立がん研究センター がん統計 肺がんの治療は大きく進歩しています。早期発見の難しい肺がんは、わが国では1993年に男性のがん死亡の1位に、1998年からは男女合わせたがん死亡のトップとなっています(図1)。 |
1【肺がんの発見から診断まで】 超音波内視鏡検査の普及で診断確率が上昇 |
【図2】肺がんの診断までの代表的な流れ
肺がんは初期症状が少なく、早期発見の難しいがんです。早期発見は検診でのレントゲンやCT検査で偶然見つかることが多く、手術や放射線治療を行うことが多くなります。一方で、長引く咳(せき)や血痰(けったん)などの自覚症状があって病院を受診した際に発見された肺がんは進行期であることが多く、薬物治療が多くなります。 |
2【治療方針の決定】 標準治療を踏まえて主治医と相談 |
肺がんと診断されたら、脳MRI検査やPETーCT検査を行って肺がんの広がりを確認します。 |
3【大きく進んだ薬物療法】 「分子標的薬」「免疫チェックポイント阻害薬」が登場 |
【表】肺がん治療に使用される薬物
肺がん治療に用いられる薬剤には4種類があります(表)。 |
4【肺がんの予防】 重要な禁煙、検診でのチェック |
肺がんの大きな危険因子は喫煙です。喫煙者が肺がんになるリスクは男性で4〜5倍、女性で2.5〜4倍といわれています。喫煙開始年齢が若く、喫煙量が多いほどその影響が大きく、受動喫煙であってもリスクを1.3倍にすることが知られています。将来の肺がん発症を予防する観点から、禁煙はとても重要です。 |
執筆者
熊本大学大学院生命科学研究部 呼吸器内科学講座 熊本大学病院 呼吸器内科 教授 坂上 拓郎 ・日本内科学会 総合内科専門医・指導医・評議員 ・日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医・代議員・理事 ・日本アレルギー学会 アレルギー専門医・指導医・代議員 ・新型コロナウイルス感染症対策熊本県調整本部本部長 ・熊本県・熊本市新型コロナウイルス感染症対策専門家会議委員 |