【元気の処方箋】
慌てずに対応するため知っておきたい 子どもの救急医療
新年度になり、子どもの活動も活発になっています。時には思いもよらぬ異常を訴え、保護者を慌てさせることもあります。特に休日や夜間に起きる急な発熱やけいれん、誤飲など、どう対応すればいいのか迷いがちです。今回は、小児救急に関する情報をお伝えします。(編集=坂本ミオ イラスト=はしもとあさこ) |
【はじめに】 重要な、小児の救急医療体制の維持 |
熊本市における子どもの休日夜間救急医療は、主に熊本赤十字病院と熊本地域医療センター(熊本市休日夜間急患センター)が担っています。また、休日の日中は市内の病院や診療所も休日在宅当番医として交代で診療に当たっています。 |
【救急受診すべきか迷うとき】 #8000(熊本県子ども医療電話相談)や、県のHPへ |
休日や夜間に子どもの具合が悪くなった場合、保護者の多くは救急外来を受診すべきか、翌日まで待ってかかりつけ医を受診するかを迷うと思います。 |
【救急外来受診の主な訴えと目安】 |
小児の救急外来受診の主な訴えは |
【1】発熱 |
小児の発熱の多くは、何らかの感染症が原因となっています。全身状態が悪くない場合は、手持ちの解熱剤や氷枕などを使用し、しばらく様子を見て、日中にかかりつけ医を受診してください。 |
【2】けいれん |
発熱時のけいれんの多くは「熱性けいれん」と呼ばれ、後遺症を残すことはありません。けいれん発症前まで元気や食欲があった場合は、重篤でない場合がほとんどです。 |
【3】嘔吐(おうと)・腹痛 |
嘔吐や腹痛が突然に出現した場合はノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が最も疑われます。発症後早期は安静にし、手持ちの吐き気止めの座薬などを使って経過を観察してください。 |
【4】喘鳴(ぜんめい)が強い・呼吸苦 |
喘鳴は、ぜんそくの持病のある子どものぜんそく発作、細菌やウイルス感染症によるクループ症候群(のどの奥が狭くなり、空気が十分に吸い込めなくなったり、特有のせきが出たりする病気の総称。犬のほえるようなせき、オットセイの鳴き声のようなせきが特徴的)、RSウイルス感染症などで出現します。 |
【5】誤飲・誤嚥(ごえん) |
誤飲した異物の多くは便中に排せつされますので、心配がないことがほとんどです。 |
執筆者
一般社団法人熊本市医師会 熊本地域医療センター 小児科部長 柳井 雅明 ・医学博士 ・日本小児科学会認定小児科指導医 |