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「あれんじ」 2023年3月4日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニックQ&A】
子どものいびき

Q 子どものいびきが気になります。病気の心配はありませんか。

さまざまな要因がある子どものいびき 症状が軽いうちに耳鼻科に相談を

◆睡眠時無呼吸になることも

 いびきは、口鼻から喉(喉頭)にかけての空気の通りが何らかの原因で妨げられた場合に認められます。子どもの1割程度に見られるとされ、機嫌がよく食欲もあり成長発育がよければ、経過を見ることが多いのですが、悪化すると睡眠中に一時的に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸」という状態になる場合もあります。
 このような状態になると、睡眠が浅くなり成長ホルモンの分泌が低下し成長や発達に障害が出ることがあるとされています。また、夜尿、起床時の頭痛、集中力低下などの原因となる場合もあります。激しいいびきが長い期間続くと、胸が陥没するようになり、心臓に負担をかけたり、肋骨や胸骨の変形を来したりした報告もあります。


◆原因別にある治療法

 一般的には、喉の奥にあるへんとうと呼ばれるリンパ組織が腫れていることが多く、その原因としてアレルギー性鼻炎が考えられるため、まずアレルギー性鼻炎の治療が行われます。このような内科治療で効果が乏しい場合には、へんとうを取り除く手術が検討されます。
 生まれつき舌が大きい、あるいは筋肉の緊張や喉を支える組織が弱い状態(ダウン症など)でも認められることがあります。このような場合は、呼吸を助ける補助機を自宅で使用することで症状が改善する例も見られます。
 また、重度の肥満でも起きやすくなります。その場合は生活習慣を整える必要があります。 
 子どものいびきにはさまざまな要因があります。症状が軽いうちに耳鼻科の先生に相談して、一緒に経過を見てもらうと安心でしょう。


熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学講座
准教授
松本 志郎