急激な症状の悪化に注意。できるだけ早く受診を
■息が吸いにくくなることも
クループ症候群とは、風邪などが原因で起こる呼吸器の病気の一つです。普通の風邪などとの違いは、「息を吸う」ことが苦しくなる場合があることです。
私たちの体は、喉仏あたりにある声帯を震わせて声を出していますが、この声帯の周り(喉頭声門部)に感染もしくはアレルギーなどで炎症が起きて腫れ上がるために呼吸がしづらくなり、特徴的なせき(犬がほえるような、あるいはオットセイが鳴くような)になります。
最初は鼻水や発熱など普通の風邪症状だったのに、夜間に急に症状が悪くなる場合があります。特徴的なせき以外に症状がない場合もありますが、熱、喉の痛み、不機嫌(痛さのため)などが認められることもあります。
さらに声門周囲の腫れが悪化すると息が吸いにくくなり、お子さんの喉や胸のあたりが陥没する陥没呼吸という状態になります。症状が悪化すると呼吸が止まるほどに腫れ上がることもあるため注意が必要です。
乳幼児の声門は大人に比べて狭く症状が悪くなりやすいため、救急外来受診の必要のある病気の一つとされています。
■早めの治療で多くは改善
治療は、声門周囲の腫れを取るための薬液吸入、ステロイドの内服(症状が強い場合には点滴)が行われます。アレルギーやウイルスが原因の場合は、抗生剤は不要です。まれですが、細菌が原因の場合(急性喉頭蓋(がい)炎と呼ばれ、ウイルス性よりさらに呼吸が悪くなりやすい)には、抗生剤が必要になります。
多くは早めに治療すれば外来治療だけで改善しますが、急激に症状が悪化することがあります。気が付いたらできるだけ早く病院を受診しましょう。 |