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「あれんじ」 2022年8月6日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニックQ&A】
舌のコケのようなもの

Q. 娘のベロに白いコケみたいなものを発見。こすっても取れません。

ほとんどは自然に治るが カビを除去する治療が必要な場合も

■カビの一種が原因

 授乳中の赤ちゃんの口の中に、白いコケのようなものが付くことがあります。これは、鵞口瘡(がこうそう)と呼ばれ、カビの一種(カンジダ)が原因で発生します。ミルクかすと見分けがつきにくいですが、歯磨きティッシュなどでこすっても拭き取れない点で区別できます。カビが付いたものを口に入れることによって口の粘膜の表層でカビが繫殖することで起こります。
 通常、機嫌がよく、哺乳がよく、普段通り元気に過ごしていれば特に治療の必要はありません。慌てずに、おしゃぶりやお母さんの乳首など赤ちゃんが口に入れるものを毎回きれいに拭くことで1〜2週間ほどで自然に改善します。無理に拭き取ろうとすると逆に口内の粘膜を傷つけるので避けましょう。
 自然に治るものが大部分ですが、哺乳を嫌がる(哺乳量が減る)場合は、粘膜が炎症を起こしている可能性があります。また、おむつかぶれを併発している場合は、カビによるオムツ皮膚炎が起きている恐れがあります。口から飲み込んだカンジダが便と共に排せつされて起きているので、口のカビを除去しないとオムツ皮膚炎も治りにくくなります。


■母親の乳腺炎の原因にも

 赤ちゃんの鷲口瘡が母親の乳腺炎の原因になることもあります。前述のような症状が赤ちゃんにある場合や母親がカンジダ乳頭乳腺炎と診断されたときは、お子さんにカビを除去する治療が必要です。
 内服液(シロップ)によって、ほとんどは数日で改善します。日常生活での予防も大事です。まずは母親の乳首や哺乳瓶、おしゃぶりやおもちゃ、口に触れるタオルや食器を小まめに拭きましょう。
 このような対策をしても改善がない場合や症状が続く場合は、かかりつけの小児科(あるいは産婦人科)に相談しましょう。


熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学講座
准教授
松本 志郎