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「あれんじ」 2022年5月14日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第101回】赤ちゃんの聞こえ

女性医療従事者によるリレーエッセー【第101回】

【第101回】赤ちゃんの聞こえ
熊本大学病院
耳鼻咽喉科頭頸部外科
医学博士 講師
伊勢 桃子

 お母さんのおなかの中ですくすくと育ち、生まれた赤ちゃんは、ご家族の宝物です。その赤ちゃんの聞こえについて、知ってほしいことがあります。
 「新生児聴覚スクリーニング検査」というものをご存じでしょうか。生まれてすぐの赤ちゃんの聴力を簡易的に測定する検査のことです。
 その検査で「要再検査」となった場合、私ども耳鼻科医が脳波検査などを用いて詳しい聴力の評価を行っていきます。
 難聴の赤ちゃんは、自分自身で聞こえないことを訴えることができないので、なるべく早くそのことに気付いてあげる必要があります。
 赤ちゃんが言葉を少しずつ話し始めるのはだいたい1歳から1歳半にかけてですが、難聴があると言葉の発達が遅れてしまうことがあります。このため、必要があれば早期に言葉やコミュニケーションの療育を開始する必要があるのです。
 そのような療育の現場では、言語聴覚士をはじめとする多職種の先生方の指導の下、子どもたちはすくすくと成長しています。私も時々診察をするのですが、会うたびにたくましく成長している姿に、こちらが勇気や元気をもらっています。
 熊本県では、ほとんどの産婦人科の病院で、生まれてすぐの赤ちゃんに、この「新生児聴覚スクリーニング検査」を行っています。任意での検査になるため、ご家族の皆さまに検査の必要性をよく知っていただき、受けていただけたらと思います。