【四季の風】
第57回 石橋
この瞬間への心からの感謝が、俳句になる。 |
相聞のごとくに橋や花の散る 中正 |
ア元達郎・福島通安『熊本橋紀行』をいただいた。とくに石橋を見て、昔の友人に再会したようになつかしかった。数ある石橋でも、私の一押しは美里町の大窪橋。長さ19・3メートル、幅2・7メートルの太鼓橋で、掌(てのひら)に乗りそう。嘉永二年だから、もう一七〇年以上前、こんな美しい橋をつくった新助とはどんな石工(いしく)だったのだろう。さらに、橋の両端に絵のような桜まで植えてもらって、橋も新助も果報者。 |