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「あれんじ」 2022年4月2日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニックQ&A】
毒性の強い虫刺されの対処

Q.春から夏にかけての外遊び。楽しみですが、虫刺されが心配です。

虫によって異なる対処法 虫に刺されないよう、小さい子どもほど大人が注意を

【気を付けたい「アナフィラキシー」】

 ミツバチは、刺した針が皮膚に残っている場合があります。とげ抜きか粘着テープを使ってできるだけ早く取り除き(指で抜こうとしない)、水で洗い流しましょう。
 スズメバチは、針を皮膚に残さず群れで何度も襲いかかって刺します。毒自体で命を落とすことはないので追い払おうと刺激せず、(刺されながらでも)身をかがめた状態でハチの縄張りから退避してください。
 虫刺されで注意したいのは、毒に対するアレルギー反応です。1回目は軽い反応で終わった場合でも、2回目以降には毒に対する特殊な抗体ができて「アナフィラキシー」という危険な反応が起きる場合があります。@全身の発疹、吐き気、呼吸困難 A目を刺された場合 B何カ所も刺された場合 ―はすぐに病院に向かいましょう。
 ムカデは顎でかみ、毒を注入します。直後から激しい痛み、腫れが起きます。すぐに傷口を洗い流してください。ムカデも2回目以降で、まれにアナフィラキシーを起こす場合があります。先に示したような症状がある場合にはすぐに病院へ向かいましょう。

【キャンプなどでは長袖、長ズボンを】

 「やけど虫」は、アオバアリガタハネカクシという6ミリくらいのアリに似た毒虫です。体液に毒を含んでいるため、知らずに触れたり、つぶしたりしてやけどのような症状を引き起こします。見つけたら素手で触ることを避け、肌の上をはっていてもつぶさずに息で吹き飛ばすか、タオルやハンカチを使うなどしてそっと払いのけるようにしましょう。触れた場合には皮膚科を受診しましょう。
 一番大事なことは虫に刺されないようにすることです。キャンプなど虫が多い場所では長袖、長ズボン、虫よけスプレーを用いて防御するなど、小さい子どもほど大人が注意してあげましょう。


熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学講座
准教授 松本 志郎