【元気の処方箋】
アレルギー反応の一つ アナフィラキシーとは?
「アナフィラキシー」と聞くと、食物アレルギーが原因となって起きるものを想像する人が多いかもしれません。新型コロナウイルスワクチンの副反応として名前が挙がったことで、関心を持つ人が増えた今、アナフィラキシーの原因やメカニズムなどをお伝えします。(編集=坂本ミオ イラスト=はしもとあさこ) |
【はじめに】 古くて新しい問題のアナフィラキシー |
アナフィラキシーはよく知られるアレルギー反応の一つです。その原因として昆虫の毒(蜂毒など)、植物成分、医薬品などが知られています。 |
【症状】 短時間に現れる全身症状 |
アレルギーには花粉症やアトピー性皮膚炎などがありますが、アナフィラキシーの特徴としては、数分から1時間ほどの短い時間に、じんましんなどの皮膚症状、嘔吐などの消化器症状、そして息切れなどの呼吸器症状など、全身に症状が現れることです。 |
【原因・メカニズム】 免疫系が過剰に強く反応 |
【図1】アナフィラキシーの原因は過剰な免疫応答
アナフィラキシーの直接の原因となる物質は、他のアレルギー症状の場合と同様に、アレルゲンと呼ばれます。 |
感作(かんさ)されている場合に危険性が |
アナフィラキシーが起きる人と、起きない人がいるのはなぜでしょうか。 |
感作の有無を判断するIgE |
感作されているかどうかは、アレルゲンを認識するIgE(イムノグロブリンE)と呼ばれる抗体ができているかどうかで分かります。つまり、蜂毒に対するIgEを持っていれば蜂毒に感作されていることになり、次にハチに刺されるとアナフィラキシーが生じる危険性が高いのです。 |
IgEがアレルゲンと結合すると… |
感作されてできたIgEはマスト細胞と呼ばれる細胞の表面にくっついて私たちの身体の中で待機しています。そして、IgEがアレルゲンと結合することでマスト細胞が活性化します。 |
難しい場合もあるアレルゲンの解明 |
【図2】ポリエチレングリコールはさまざまな医薬品や
化粧品などで使用されている安全な物質 新型コロナワクチンでは、無害なことで知られているポリエチレングリコールがアレルゲンとなっている可能性が疑われていますが、今でも研究は続けられています。 |
【治療】 迅速な治療薬の投与で大事に至らない |
アナフィラキシーは急激に全身症状が現れますが、治療薬を投与することですぐに治ります。食物アレルギーなどが原因でアナフィラキシーの危険性が高い人はあらかじめ自己注射薬を渡されている場合もあります。 |
執筆者 |
熊本大学大学院 |