【元気の処方箋】
適切なスキンケアで防ごう 乾燥による湿疹
冬場の乾燥による肌荒れは誰もが経験することではないでしょうか。それがかゆみや発疹などの症状につながることもあります。今回は、乾燥による湿疹についてお伝えします。(編集=坂本ミオ イラスト=はしもとあさこ) |
【はじめに】 冬場に多くなる皮膚の乾燥に注意を |
皮膚に炎症が起きると、ブツブツ(発疹)や赤み(紅斑)が出ます。かゆいため引っかいてしまうと皮膚が傷ついてしまい、汁(滲出液)が出たり、出血したりします。この状態を「湿疹」と診断します。 |
【Q.皮膚の乾燥の原因は何?】A.年齢による皮脂分泌量の変化です |
肌の潤いを保つものに皮脂がありますが、皮脂の分泌量は年齢によって大きく変化します。生まれたばかりの新生児では多く分泌されていますが、小児期にはいったん少なくなります。そして思春期から増加し始め、女性では10〜20代、また男性では30〜40代にピークを迎え、その後次第に減少していきます。50代あるいはそれ以上の方は、どんどん肌の潤いが保てなくなっていきます。 |
【Q. 乾燥するとなぜかゆくなるの?】A. 内部で炎症が起きたり、感覚神経が伸びたりするため |
【図1】乾燥するとかゆくなる仕組み
2つ理由があります。1つ目は、皮膚が乾燥すると目に見えない皮膚の内部で軽い炎症を起こすから。2つ目は、皮膚に張りめぐらされた神経の問題です。 |
【Q. 乾燥肌や湿疹とアトピー性皮膚炎の違いは?】A. どちらもアトピー性皮膚炎の症状の一つだが、イコールではない |
【図2】乾燥肌
乾燥肌は、単純に皮膚が乾燥しただけの状態です(図2)。乾燥肌はアトピー性皮膚炎の症状の一つですが、乾燥肌=アトピー性皮膚炎ではありません。 |
【図3】湿疹
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【Q. 乾燥から肌を守るにはどうしたらいいの?】A. 入浴後なるべく早く保湿剤を |
◎保湿の継続で皮膚の水分量がアップ
〜私のデータから〜 【図4】は私の皮膚の水分量と水分蒸散量を測ったデータです。乳液でもクリームでも2カ月間継続して保湿したところ、皮膚の水分量がアップして、水分が蒸発してしまう量が減っています。 面白いことに塗っていない背中も改善しています。これは全身的に皮膚が良い状態になるためだと考えられます。 風呂上がりに軽くバスタオルで水をふき取った直後、まだ少し水分があるような状態のときに保湿剤を塗りましょう。塗るタイミングは早ければ早いほどいいです。 |
【Q. 何度も保湿剤を塗っていいの?】A. 自分に合う保湿剤であればOK 湿疹の治療薬は別 |
保湿剤には薬局で買えるものと、医師に処方してもらう医薬品とがありますが、自分に合う保湿剤であれば1日に何度塗ってもかまいません。 |
執筆者 |
熊本大学病院 |