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「あれんじ」 2021年9月4日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第96回】「わが子の集団検診で」

女性医療従事者によるリレーエッセー【第96回】

【第96回】「わが子の集団検診で」
熊本大学病院
小児科
特任助教
中村朋美

 私は現在、NICU(新生児集中治療室)に勤務しています。

 育休中、わが子を集団検診に連れて行く機会がありました。医師として以前、言語発達に不安があるお子さんや各種検査で問題があったお子さんを専門機関に紹介していましたが、自分の娘も2回ひっかかり…。

 1歳半の頃の次女は、嫌なことがあると人の顔を思いっきりたたくので困っていました。本気で叱ったり、たたかれたら痛いことをしんみりと語ったり、気をそらして遊びにつなげたりと試行錯誤しましたが、どれも効果なし。

 1歳半検診で保健師さんに相談すると、「今は欲求を伝えたいけど言葉にできないので仕方ない面もありますよね」と慰めてくださいました。ところがその目の前で次女は、お友達の頭を肩関節から振りかぶった手でたたいたのです。それを見た保健師さんは即座に発達相談センターを紹介してくれました。しばらく通って丁寧にご指導いただき、今は(ほぼ)たたかなくなりました。

 3歳児検診では、ランドルト環のカードを家で保護者が見せる事前検査をして報告する形式の視力検査を行います。片目を隠して「どこに穴が空いてる?」と聞くと、自信に満ちた顔でこちらを指さし「真ん中!」。「んーと、そうなんだけど、穴はどっちの方向?」「真ん中!」。…眼科受診の紹介状をいただきました。

 これらの経験から、専門機関への紹介後の流れを身をもって知ることができ、発達相談での指導法も勉強になりました。

 集団検診では、年齢に応じて介入すべき問題の早期発見を目指しています。皆さまもぜひ忘れずにお子さまを受診させてください。