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「あれんじ」 2021年5月1日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第93回】「乳がん治療を専門にして」

女性医療従事者によるリレーエッセー【第93回】

【第93回】「乳がん治療を専門にして」
医療法人創起会
くまもと森都総合病院
乳腺外科医長

大塚 弘子

 今、日本人の2人に1人ががんになるといわれています。日本人女性で一番多いがんは、乳がんです。数年前は12人に1人といわれていたのが、最新の統計では9人に1人という数値が出ています。隣近所や同級生の中に数人いてもおかしくない頻度になっています。

 ただし、今は早い段階で見つかれば完治を目指せるようになっています。進んだ状態で見つかっても、最近の薬は病気の進行を抑える効果が大きく、「がん=死」ではなくなってきています。

 乳がんを専門に診療するのが乳腺外科です。外科の専門医の資格を取得した後に専門臓器(消化器や呼吸器など)を選ぶため、若い頃は胃がんや大腸がんの患者さんに多く接しました。そこから乳腺を専門に治療するうちに、がんのできた部位ごとに決まっている薬がある一方で、共通して効果がある薬があることを学び、臓器横断的(病気のできた部位によらず全身を通して治療を決める)な知識を得ることで患者さんに貢献できればと思い、腫瘍内科の専門医の資格を取得しました。

 今は乳癌学会の乳腺専門医と臨床腫瘍学会のがん薬物療法専門医を取得し、それぞれの指導医の資格を生かして診療に当たれることに感謝しています。

 乳がんは、早期発見で完治も目指せる病気になっています。自分で触れて気付くこともできるのでセルフチェックをし、検診を受けていただきたいと思います。心配なことがあればいつでもご相談ください。そこからできることを一緒に探しましょう!