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「あれんじ」 2020年12月5日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
子どもの便秘と痔(じ)

Q 子どもが便秘がちで心配です。便秘の治療法って、あるのでしょうか。

適切な治療に加え、食事を改善する工夫も重要

●排便時の痛みを嫌がって便秘に

 子どもの便秘の悩みは決して珍しくありません。特に離乳食が始まる時期から排便回数が減少し便自体が固くなると、排便の時に痛みを伴います。ひどい場合にはお尻が切れて出血し、痔核(じかく=いぼ痔)の状態になることもあります。排便に苦痛を感じると、便を出すこと自体を嫌がって我慢します。

 また、幼稚園や保育園、小学校に行き始めて、排便のタイミングを逃している場合もあります。

 便秘が続くと、肛門の近くの直腸の部分にたくさんの便が長期間留まり、腸が伸びきってしまい、便意(排便をしたくなる感覚)を感じにくくなります。この状態になると自力で回復するのは難しく、薬を使って便を柔らかくします。排便時の痛みがなくなれば、排便を嫌がらなくなります。腸の動きをよくする薬を併用する場合もあります。


●食べ物や運動、生活リズムに気を付けて

 多くはこのような治療で収まりますが、食事を改善する工夫も重要です。発酵食品(ヨーグルト、納豆、みそなど)や野菜に多く含まれる食物繊維は、医学的にも便通を改善する効果が知られています。

 野菜を子どもに食べさせるには、ミキサーなどで飲みやすい野菜ジュースにする工夫などが必要です。市販の野菜ジュースは食物繊維が取り除かれている場合が多く、自宅で作る方が良いでしょう。

 体に合った食べ物は一人一人違うので、「これを食べると良い便が出る」というような体質に合ったものを見つけましょう。親子のスキンシップ、基本的な生活リズム、適度な運動も重要です。

 このような工夫を続けても改善しない頑固な便秘の場合は、外科的な治療が必要となることもあります。心配なときはかかりつけの小児科医に相談しましょう。


熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学分野
松本志郎准教授