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「あれんじ」 2020年8月1日号

【家族の心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
夜驚症(やきょうしょう)

年長の娘が夜中に泣いたり、暴れたりして、どうしていいか分かりません。

本人は翌朝覚えていない

 いわゆる「寝ぼけ」といわれる夜驚症、別名、睡眠時驚愕(きょうがく)症は、入眠後1〜2時間ほどした夜中に突然、泣いたり叫んだりすることで始まることが多く、時に怒り、怖がり、パニック状態になり、暴れることもあります。

 目は開いていますが意識ははっきりせず、声をかけても聞こえていないかのような行動をとったり、質問に合わない受け答えをしたりします。睡眠と覚醒の間の状態と考えられます。短時間で終わることが多いのですが、時に30〜40分ほど続くこともあります。

 子どもにはよく見られ、頻度は1〜6・5%と報告されています。親御さんにとっては強烈ですが、本人は翌朝何も記憶していません。不安に思う可能性があるので、本人には話さない方がよいでしょう。


無理になだめたりしないよう

 就学前から学童期にかけて起きるようになり、多くの場合、成長とともに自然消失します。本人にとって有害な睡眠行動ではないので、通常、治療は不要です。

 対応としては、部屋から飛び出したりしないようにドアや窓が閉まっているか確認し、安全確保に気をつけましょう。無理になだめたりしても意味がないどころか、さらに激高させることがあります。刺激しすぎないようにし、再度眠るように促します。抵抗するようなら、そのままそっとしておきましょう。

 原因ははっきりと分かっていませんが、誘因として睡眠不足、発熱、尿意を我慢しながら眠る、旅先などいつもと違う環境で眠る、ストレス…などがあるといわれています。

 けがをする、暴力をふるうなど家庭にも大きな影響を及ぼす場合には、睡眠薬や抗不安薬などの投薬が必要になることもあります。まずは、かかりつけ医を受診し、ご相談ください。


保護者にとっては強烈ですが多くは成長とともに自然消失します
熊本大学病院 小児科
医師 樫木 朋子