【元気!の処方箋】
「見え方」に不自由しないため正しく知りたい緑内障
気付かぬままに症状が進むという緑内障は、いかに早く発見して治療につなぐかが大事なポイントです。今回は、緑内障についてお伝えします。(編集=坂本ミオ) |
【はじめに】緑内障は失明原因の第1位! |
近年の調査で、緑内障は日本人の後天性(生まれつきではないこと)失明原因の第1位であることが分かっています。 |
【緑内障ってどんな病気?】眼圧が相対的に高いことで視神経が弱っていく |
【図1】緑内障の原因
眼球の内張りをしている網膜で光を感知し、その信号を視神経が脳に伝えることで、モノが見える。緑内障は、この視神経が弱る病気であり、眼圧が視神経を弱らせる主な原因と考えられている。 モノを見る仕組みでは、眼球の内張りをしている網膜で光を感知し、その信号を視神経が脳に伝えます。緑内障は、この視神経が弱る病気です。 |
【眼圧が上がる原因や病型はさまざま】 |
【図2】緑内障の種類
隅角とは角膜と虹彩によって形成される角のこと。開放隅角と閉塞隅角のタイプがある。 眼圧が上がる原因は、落屑(らくせつ)症候群、ぶどう膜炎、糖尿病網膜症といった目の病気に続発するものや、目の外傷によるもの、ステロイド薬によるものなど、さまざまです。 |
【緑内障の症状】初期から中期は無症状が大半! |
【図3】緑内障による見え方のイメージ
多くの場合、緑内障は少しずつ進みます。視神経が弱り、視野の中で見えない部分が出てきますが、初期は中心からズレたところが障害されやすいことで視力は保たれます。さらに欠けた部分の視野を脳が補う機能もあって、ほとんどの方は気付かないことが特徴です(図3)。視野検査や眼底検査を行うと見つけることができます。眼圧が高い場合は眼圧検査でも見つかります。 |
【緑内障の治療】眼圧を下降させ進行のスピードを遅くする |
まず、薬によって眼圧を下げますが、用いるのは基本的に目薬です。内服薬は副作用の問題から長期的に使用することには不向きです。 |
手術は進歩しているが、危険性もある |
緑内障の手術は、目の中に栄養を与える房水の排水量を増やすことにより眼圧を下げるために行います。 |
【終わりに】定期的な検査と治療で見え方を維持しましょう! |
緑内障は正しく理解し、気長に付き合っていく必要のある病気です。 |
執筆いただいたのは |
熊本大学大学院 生命科学研究部眼科学講座
教授 井上 俊洋 ・日本眼科学会眼科専門医 ・日本緑内障学会 評議員、理事 ・日本小児眼科理事 |