【四季の風】
第50回 昼寝
もちろん昼寝は年中してもいいが、とくに暑くて体力が落ちる夏が多いので、夏の季語。「午睡」ともいい、昼寝している人を「昼寝人(ひるねびと)」といったり、目が覚めると「昼寝覚(ひるねざめ)」という。川崎展宏は「朝の寝覚めと違って、ちょっとはかない気分」というが、その通り。さらに、「三尺寝(さんじゃくね)」ともいうが、職人が三尺(約九〇センチ)ばかりの狭い仕事場で仮眠することからとも、日脚が三尺移る間を寝るのを許されるからだともいう。いずれにしても、味のあることばだ。 |
海を見てこれから昼寝するつもり 岩岡中正 |
昼寝児(ご)のさめて坐つて居りにけり 福田蓼汀(りょうてい) |