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「あれんじ」 2020年6月6日号

【慈愛の心 医心伝心】
【第86回】私を小児科医にした子どもたち

女性医療従事者によるリレーエッセー【第86回】

【第86回】私を小児科医にした子どもたち
熊本大学病院 
小児科
医師
横山 智美

 元々、外科医になりたかった私は、「小児に触れる」という目的で、研修医2年目に小児科で研修をしました。初めての小児科はそれまでの成人相手とは全く違い、意思疎通ができない、処置や検査で多くの人手と時間を要する、といったことなどで最初は正直つらかったことを覚えています。

 そんな私が小児がんのお子さんの担当となりました。5歳と1歳の男の子は、どちらもびっくりするほどわんぱくでした。検査が嫌で廊下で泣き叫ぶ、物を投げるなど毎日が戦いでした。私は「これが小児か」と思いましたが、後に彼らは歴代の患者さんの中でも1、2位を争うほどのわんぱくだったと知りました。

 しかし、そんな二人も少しずつ自分の置かれている状況を理解し、1カ月も経過した頃には朝病棟に行くと「せんせー」と走ってきてくれるようになりました。結果、二人は治療を完遂し、元気なお兄ちゃんたちになっています。

 小児は何を言っても分からない生き物だと思っていたほどでしたが、この二人からたくさんのことを学んだ結果、私は現在小児科医として働いています。

 先日、そのうちの一人に数年ぶりに外来で会いました。あんなにやんちゃだったのに、自ら腕を出し、泣くこともなく採血をしている姿に感動しました。

 小児科医として私はまだまだですが、子どもたちは私の想像をはるかに超えた成長や奇跡を見せてくれます。こんな世界を見せてくれる子どもたちに感謝しながら、日々奮闘中です。